200平成1 6  21 曜日

容疑の女性を釈放/城辺町新城老女殺害事件

 1998年7月17日に平良市西原の真謝漁港近くの道路わきで城辺町新城に住む無職、城間カ子メガさん=(かにめが、当時85)=が他殺体となって発見された事件で、那覇地方検察庁平良支部は20日午後8時50分ごろ、殺人の容疑で逮捕・送検されていた同町新城に住む農業の下地フジ子さん(63)を「現時点で起訴・不起訴を決することはできない」として処分保留のまま釈放した。宮古署は同日会見し、捜査の正当性を主張した。逮捕から23日間拘置されていた下地さんは涙を流し、家族や友人らと抱き合っていた。

 事件は当時、行方不明で捜索を受けていた城間さんが自宅から約15キロ離れた真謝漁港わきの道路で、両手両足をロープのようなもので縛られ他殺体で見つかった。県警と宮古署では所持品などから城間さんと断定。捜査本部を設置し本格的な捜査に乗り出した。
 しかし、発見された城間さんの遺体は腐敗が進んでおり、司法解剖では殺害方法や場所、死因、時期などを特定することができなかった。また、城間さん宅からは現金約98万円余りが見つかったほか、遺体のそばにあった城間さんの持ち物の中からは現金約2万円などが発見されたことで「金目的の犯行の可能性は低い」と判断された。
 県警や宮古署は聞き込みなどの捜査を実施していたところ、昨年末ごろから下地さんに絞り込み、「詰め」の捜査を進め2月27日午前8時23分、殺人の容疑で逮捕。同日、家宅捜索を行い証拠品としてメモなど20数点を押収した。
 逮捕状には「殺害場所は『平良市内か宮古郡内』、時期は『7月上旬ごろ』、殺害方法は『なんらかの方法』」としか記されていなかったという。下地さんは同署の取り調べに対し黙秘を続けた。
 同29日に送検された下地さんは検察の取り調べに対し無実を主張。犯行を否認していた。
 同支部は今月11日に拘置期限を延長。弁護団は勾留理由開示を請求し、理由を公開の場で明確にすることを求めた。
 逮捕、送検後、初めて公の場に姿を現した勾留理由開示でも夫、肇さん(66)が見守る中、無実を主張していた。
 下地さんを出迎えた弁護団は「最初から物的証拠も無く、逮捕してから虚偽の自白で証拠を作ろうとしたのでは。あってはならない捜査方法だ」と捜査機関を厳しく批判。また、夫の肇さんは「23日間はとても長かった。妻が逮捕され、天地がひっくり返った。私たちも幸せに生きる権利はある。無実の妻を逮捕した県警と宮古署はどうやって責任を取るのか。許せない。厳重に抗議したい」と怒りをあらわにした。

 写真説明・「無罪」を訴え続けた親戚、知人らが下地さんが宮古署から出てくると涙を浮かべながら喜び抱き合っていた=20日午後9時すぎ、宮古署

・「逮捕」「釈放」の理由を示さず/宮古署
 容疑者逮捕後、那覇地検平良支部に送検し23日間の拘留、取り調べを経て那覇地検平良支部が出した結果は「処分保留のまま被疑者釈放」だった。この事件で「容疑者逮捕」の会見は県警と宮古署両方で行われた。しかし、今回の「釈放」についての会見は行われず宮古署では署の入口に報道陣の取材を避けるかのように「関係者以外の立ち入りをご遠慮願います」との貼り紙まで出された。
 容疑者釈放から約1時間半後にようやく報道陣の取材に応じた宮古署の石垣用秀署長は「捜査は適正に行われ今後も那覇地検と連携して捜査を続行したい」とのコメントを発表するに止まり、取材陣の質問には一切答えなかった。
 「容疑者逮捕」についてはマスコミに対して会見を設定。しかし、「容疑者釈放」はマスコミを避けるような姿勢には取材する報道陣からも疑問の声が上がった。

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職員数の適正化・計画策定など提言/新市建設小委員会

 「こころつなぐ 結いの島 宮古〜みんなでつくる 元気で誇れる島づくり〜」を目指して「新しい島づくり計画(素案)」を検討していた、新市建設計画に関する小委員会(平良和枝委員長)の第10回(最終)の会合が19日午後、宮古地区市町村合併協議会事務局会議室で開かれ、同素案を全会一致で承認した。今月29日に開かれる予定の合併協議会に報告される。

 同委員会は、素案の中に盛り込まれている財政計画を中心に検討を重ねた。同計画は、合併後の2005年度―14年度の10年間について、歳入歳出の各項目ごとに合併に係る特例措置などを見込み、普通会計ベースで策定された。その基本方針として、▽合併特例債が無くなる15年後以降を見据えた中・長期的展望で策定▽行政体制は、合併直後から早急に大幅な効率化を図る▽人件費抑制のための「定員適正化計画」を策定し、職員数を着実に削減▽主要施策(リーディングプロジェクトを含む主要事業)の重点的実施―などを提言している。
 合併による人件費の削減効果は、議員(在任特例10カ月)が1年目で900万円、2年目以降は各年度約2億円、三役などが10年間の各年度で約1億9000万円、職員が10年後では約23億7000万円となっている。
 その根拠となる職員数について、合併直前の945人に対し、合併15年後までに395人を削減し、550人にする計画。15年間を5年ごとに前期・中期・後期に分け、前期に130人、中期に180人、後期に85人程度それぞれ減らす。一方、新規職員採用数は前期に35人、中期に90人、後期に110人程度で、15年間で235人を採用する予定。
 新市建設計画で位置付けられたリーディングプロジェクトの総事業費は10年間で約215億円。

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1人当たり、借金63万円/平良市がバランスシート公表

 平良市(伊志嶺亮市長)はこのほど、2002年度(03年3月31日現在)の財政状況を示すバランスシートを公表した。それによると、市が72年度以降に形成してきた「資産」の総額は837億6400万円で、これを市民1人当たりに換算すると240万円となる。一方、「負債」の総額は219億5100万円で、市民1人あたりでは62万9000円となっている。今月18日には「財政非常事態宣言」を行い、その取り組みの一環として今回、バランスシートが示された。

 「資産」のうち、普通建設事業で形成された施設など有形固定資産は803億2400万円(土地以外の施設は減価償却)、財団法人設立の際に出資する経費など投資等は10億5000万円となっている。
 有形固定資産の内訳では最も多いのが土木施設の363億300万円、次いで農林水産施設が190億3400万円、教育施設が176億7900万円となっており、住民生活に密接な関わりのある施設を重点的に整備してきている。
 今後の負担を必要とする「負債」に対して、返済等の必要がない「正味資産」(民間企業では「資本」)は618億1200万円で、そのうち国庫支出金が354億4700万円、県支出金が156億4600万円、一般財源等は107億1700万円となっている。これを市民1人当たりに換算すると177万2000円で、うち国庫支出金が101万円、県支出金が44万円、一般財源等が30万円。
 総額219億5100万円の負債の内訳は、1年以内に支払い義務が生じる「流動負債」が17億4900万円、それ以外の「固定負債」が202億200万円となっている。
 また、負債前年度比で9億7400万円の減となっており、この主な要因として、地方債の減(マイナス7億6900万円)が挙げられ、これは財政健全化計画策定による効果と宮古清掃施設組合へ債務を移管したことなどによるとしている。
 今回の発表について当局は「バランスシートは市の財産、負債がわかる。しかし公表、作成している団体が少ないため比較するデータが少なく現状の良し悪しの判断も難しい。これから公表団体が増えていくことで今後の市の計画等に反映させるデータも増えてくると思う」と述べた。
 バランスシートとは、「複式簿記」といわれ、財産、借金、自己資産を一覧で表すことでその財政状況を分かりやすく示したもの。地方公共団体でバランスシートを作成することにより、今までに使われてきたお金によって市の財産がどのような形で存在しているのか、将来的な財政の見通しなど単年度決算では分かりにくい財政事情が把握できる。

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8万7565トンを搬入/宮糖城辺工場・キビ搬入を終了

 宮古製糖(新里光男社長)城辺工場の2003−04年期産サトウキビ原料搬入が、20日終了した。搬入量は8万7565トンで前期と比べ9175トンの減収。平均糖度は基準糖度帯の下限値(13・1度)を1・25度上回る14・35度。同工場管内の今期サトウキビの品質はまずまずの水準だったものの収量は干ばつと台風の被害を受け、厳しい実績となった。
 宮糖城辺工場は1月21日から操業を開始し、60日間原料を受け入れた。製糖操業は砂糖を炊き上げて21日に終了する。操業日数は原料が少ないため、前期より4日間短かった。
 同工場のまとめによると、原料は8万7565トン搬入され、平均反収は5・7トン(前期比0・3トン減)だった。農家総手取額は18億1834万3000円で、トン当たり農家手取額は基準額の2万300円を466円上回る2万766円となった。
 搬入された原料の糖度内訳は13・0度以下が10・5%、基準糖度帯(13・1−14・3度)が37・1%、14・4度以上が52・3%で、全体の9割が基準以上を占めた。糖度の最高は17・8度、最低は9・5度を記録した。全体の原料に占める機械刈りの割合は昨年並の17・5%だった。
 今期操業について同工場の川満長英農務部長は「今期は成育初期と7、8月に干ばつがあり、これに追い打ちをかけるように台風14号が襲来し成育が抑制された」と成育状況を説明。その上で具体的に▽枯死茎が多かった▽10アール当たり成育茎数が5600本と平年より少ない▽茎長が平年より40センチ短い―などを減収の要因として示した。
 一方、糖度がまずまずの成績を上げた理由については▽操業開始を遅らせたこと▽製糖期後半に乾燥低温の気象に恵まれたことなどを挙げた。

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安心して暮らせる地域づくりを/ふれまちフォーラム

 高齢者、障害者などすべての人たちが安心して暮らせる地域づくりを目指した「2003年度ふれまちフォーラム〜みんなで考えようふれあいのまちづくり〜」(主催・市社会福祉協議会)が20日、市老人福祉センターで開催された。フォーラムでは▽ふれあいのまちづくり推進委員会▽ボランティア活動協力校▽地域ボランティアサークル―などの活動実績報告が行われ、ボランティアや参加者らはぬくもりのある福祉のまちづくり推進のために市民とともに取り組んでいくことなどを確認し合った。

 活動実践報告を行った地域ボランティアサークルは、宮古BBS会、「やびじ会」など。また、ボランティア活動協力校では西辺中、久松中、北中、狩俣中の4中学校のほか、宮古高校、宮古農林高校が取り組みを報告した。
 各中学校の報告では活動を通して、ボランティアに対する生徒の姿勢が変わったことや生徒自らが進んで実践できる態度が生まれたことなどが効果として示された。また、今後の課題としては、より主体性のある活動の展開や、地域とも連携をとった継続的な取り組みが必要であることなども報告された。
 主催者あいさつで奥平玄孝会長は「今回のフォーラムを通してふれあいのまちづくりに向けたたくさんの意見等が取り組みに反映されることを期待している」と述べた。
 そのほか、来賓祝辞で伊志嶺亮市長も「昔の宮古はみんな貧しくて互いに支え合う心があった。しかし、時代とともにそういった心が薄れている感じがする。安心して暮らせる地域にするためには互いに支え合う心が大切」と呼び掛けた。
 ふれあいのまちづくり事業は、市社協が実施主体となり、市内の福祉関係機関、団体・福祉施設ならびに地域住民が一体となりすべての市民が相互理解を深め誰もが安心して暮らせるまちづくりを推進している。
 今回のフォーラムは、ふれまち推進委員やボランティア活動を教育の中に取り入れている学校の報告を通して、今後の連携やネットワークのあり方について相互理解を深めることを目的に行われた。

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オニヒトデ、八重干瀬(やびじ)で異常発生/漁師らが確認

 平良市池間島の北方に広がる八重干瀬の一部でテーブルサンゴなどに食害を与えるオニヒトデが異常発生していることが20日、分かった。同島の漁師やダイビング業者らが確認し明らかにした。今月29日に開かれるオニヒトデ対策協議会で、八重干瀬はオニヒトデ駆除の重点地区に指定されそうだ。
 オニヒトデは、これまで宮古島の南海域で異常発生が確認され、北海域までまん延するのではないかと懸念されていた。
 同島の漁師、勝連見治さん(50)らは「八重干瀬のイフと呼ばれるサンゴ礁で、オニヒトデが異常発生している。1匹が座布団くらいの大きさ。早めに駆除しないとテーブルサンゴなどは壊滅状態になる」と危機感を募らす。
オニヒトデは、夏場に向け産卵期に入り、繁殖する。
 八重干瀬には、大小、100を超えるサンゴ礁が点在する。イフと呼ばれるサンゴ礁は、八重干瀬のほぼ中央に位置しており、オニヒトデは今後、周辺のサンゴ礁群にまで発生する可能性が高い。
 勝連さんは「行政からオニヒトデ駆除費が支出され次第、漁師らを集めて駆除作業に乗り出したい」と話す。

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