200平成1 6  19 曜日

財政非常事態を宣言/平良市・伊志嶺市長が職員に訓示

 平良市の伊志嶺亮市長は逼迫(ひっぱく)する市の財政状況の抜本的改革を目指して18日、1998年以来2度目の「財政非常事態宣言」を行った。同日の朝には市役所前広場で伊志嶺市長の職員に対する訓示が行われ、財政健全化に向けて全庁体制で行財政の改革を断行することが発表された。今回の非常事態宣言では人件費等の削減、財政再建市民委員会の発足など10項目の行動計画も示された。これまで職労との交渉で「人件費削減」については明言を避けていた当局だが、今回は明確に示された。

 今回の財政非常事態宣言は新年度の施政方針同様に「あらたな挑戦〜みやこ新時代の創造をめざして〜」をテーマに掲げている。訓示で伊志嶺市長は「財政危機を克服するには人件費を含めた徹底した内部管理経費の節減に加えて公共事業に対しても新しい発想による大胆な見直しを行うことが必要」と述べるとともに、市税等の徴収率向上のための抜本策や受益者負担の適正化などにも取り組むことも説明された。
 市長訓示を受けた「決意のことば」では、市職員を代表して経済部むらづくり課の友利智さんが「厳しい状況に対して逆転の発想をもって立ち向かい、必ず健全財政を実現する」との決意を示した。
 そのほか、行動計画の市税、家賃、土地改良負担金等滞納分の徴収体制強化では▽現在の10倍規模での徴収体制の確立▽併任辞令の発令▽差し押さえ処分の徹底▽専任職員の配置▽特別徴収日の設定―が盛り込まれた。
 また、国保税の徴収強化や手数料の見直しなどのほか、広報活動で市民にも理解と協力を呼び掛けている。
 平良市の新年度予算編成は、国の三位一体(さんみいったい)改革の影響を受け、編成作業が難航。一次内示では異例の「歳入欠陥」内示に踏み切った。しかし、国や県の指導を受けた最終内示では歳入と歳出の帳尻を合わせるも実質的には5億6000万円の不足額が発生している。

 写真説明・財政健全化に向けて職員の一致団結した取り組みを呼び掛ける伊志嶺市長=18日、平良市役所

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税徴収に体制強化/平良市・係長以上19人を徴税吏員に任命

 平良市(伊志嶺亮市長)は18日、2004年度の市税確保に向けた徴収体制強化として総務部の係長以上19人に対して徴税吏員に任命する併任辞令を交付した。
 辞令交付式で伊志嶺市長は「きょうは市財政非常事態宣言を行った。本来の職務と並行して市税徴収にも頑張ってほしい。厳しい財政状況の中で合併を控えている。他町村の負担にならないよう税徴収を強化して歳入を確保してほしい」と述べた。
 今後平良市では、財政課8人、企画室11人、市民課15人の徴税吏員を新年度に併任発令し、今回の19人に加えた53人が市税の徴収強化と滞納整理の徹底を図っていく。
 具体的な取り組みとしては「「取る」「押さえる」「落とす」を3原則に▽電話勧告および臨戸徴収の強化▽滞納処分の強化▽高額滞納者(100万円以上)への対応強化と滞納処分の迅速化▽滞納者の担税力調査(生活実態調査)の強化―など7項目を実施していく。

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他町村長が反発/平良市国保税上げ否決・

「赤字解消の認識感じられない」

 平良市が国保事業の赤字解消に向けた取り組みの1つとして提案した国民健康保険税の税率をアップする条例改正案が17日に行われた平良市議会の文教社会委員会で否決されたことを受け、合併を控えた他町村の首長が一斉に反発している。川満省三下地町長は「否決もその理由も納得できない。議員のおごりだ」と厳しく批判。川田正一上野村長も「国保の赤字を解消していこうとの認識が感じられない」と今回の判断に不信感を示した。

 伊志嶺亮市長は今回の委員会判断について「反対した議員は勘違いしていると思う。合併しても税率は五年間をめどに平準化していく。他の議員にもこの問題については説明して本会議では『可決』にしたい。合併協議をスムーズに進めるためにも与野党に理解を得ていきたい」と述べた。
 開会中の城辺町議会でも18日に行われた一般質問でこの問題を議員が当局に質問。仲間克町長も「否決」の判断に批判的な見解を示した。
 市議も委員として参加している合併協議会で理解を得られたはずの今回の提案が、委員会で「否決」となったことで、国保事業黒字の自治体は困惑を隠しきれない状況だ。
 同条例案に反対したのは嵩原弘、棚原芳樹、宮城英文、上里樹の4氏。賛成は奥平一夫、亀浜玲子、池間青昌の3氏で、賛成少数で「否決」となった。
 これまでの合併協議でも平良市と伊良部町の国保赤字については他町村から「なぜ、赤字を合併後の新市に持ち込むのか」「合併までに赤字を解消すべき」など厳しい意見が相次いだが、多額の赤字額を解消することは現実的に不可能なことから他町村は「現行の赤字額を増やさない。縮小に努力したい」とする平良市、伊良部町の意向に歩み寄っていた。
 市側が複合的な赤字解消策の1つとして示した今回の条例改正案は当初、昨年12月議会に提案を予定していたが台風14号の影響で今議会に延期となっていた。24日に行われる市議会の最終本会議でどのような判断が下されるか注目される。

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投資額は338億9300万円/03年度宮古地区公共・非公共事業・

前年度比4・4%減

 県宮古支庁がこのほど発行した「宮古概観」によると2003年度における管内の公共および非公共事業投資額(年度当初予算概数)は338億9300万円で前年度比15億4200万円(4・4%)の減となった。

 公共・非公共事業の構成比をみると、最も大きいのが農業基盤整備事業の37・5%。次いで港湾整備事業の15・2%、道路整備事業12・5%で同3事業で6割を超えた。
 農業基盤関係は、ほ場整備とかんがい末端施設整備が中心で、03年度計画面積は前者が83ヘクタール、後者が213ヘクタールとなっている。
 港湾関係は平良港下崎地区のバース整備や伊良部町長山港の防波堤工事、多良間村前泊港の波除堤工事などが主な事業。道路関係では下地・城辺線(南北横断道路)の新設工事や上野村から城辺町にかけた国道390号の拡幅工事が進められている。
 公共・非公共事業投資額の過去10年間の推移をみると、最も多かったのは96年度の468億円。その後減少し98年度には400億円台を割り込んだものの、2000年度には再び400億円台を回復。しかしそれ以降は減少傾向にある。

 ※公共事業はハード面の整備、非公共事業は制度資金の貸し付けなどソフト面の事業のこと。

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環境班の偉業 後世に/宮農高・記念碑除幕式

 日本学校農業クラブ全国大会で最優秀賞を受賞した環境班の偉業を後世に伝えようと、県立宮古農林高校(下地恵吉校長)は18日、同校玄関前で記念碑建立除幕式を行った。全校生徒、学校関係者が集い、環境班の活躍を盛大にたたえるとともに、宮古島の地下水保全への決意を新たにした。
 除幕式では前里和洋教諭が環境班の歩みを述べた後、下地校長、上里さつき学友会長、川平勉環境班長、松岡光男PTA会長、島尻正弘同窓副会長が除幕した。
 下地校長は「本校生としての自信と誇りを持ち、日ごろの学習活動や部活動に精いっぱい努力することと、農業クラブ活動をより一層充実させ本校の伝統を継承発展することを期待します」と式辞を述べた。
 生徒を代表して上里学友会長は「これからも宮古の地下水と農業を支える研究を頑張ってください」と激励した。
 環境班は昨年10月に秋田県で開催された第54回日本学校農業クラブ全国大会で「Bio―P」(バイオ・リン)の研究について発表し、最優秀賞と文部科学大臣奨励賞も受賞した。

・宮農高 またも栄冠/大賞と研究活動賞のW受賞
 日本水大賞顕彰制度委員会(委員長・高橋裕世界水会議理事)は16日、水循環系の健全化に寄与する活動をしたとして、県立宮古農林高校環境工学科環境班に「日本水大賞」の最高賞に当たる大賞と青少年研究活動賞の受賞を発表した。表彰式は6月3日に東京都で行われる。また、環境班は8月にスウェーデンで開催されるストックホルム青少年水大賞国際コンテストに日本代表として参加する。
 今回の受賞に前里教諭は「大きな賞を2つももらえて驚いている。昨年も応募したが落選していたが今回、高い評価を受けてとてもうれしい」と喜びを隠せない様子。また、「今後も農業の活性化、地下水保全に努力したい」と決意を新たにした。この賞は健全な水循環系の再生において顕著な取り組みを行っているNPO(民間非営利団体)や学校、企業に贈られる。
 同国際コンテストは、世界トップレベルの同世代の若者たちと競い合う機会を提供するもので、毎年8月にスウェーデンのストックホルムで開催される。

 写真説明・学校関係者らによって環境班の活躍をたたえる記念碑を除幕した=18日、県立宮古農林高校玄関前

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運転代行 にわかに脚光/島内で4社稼働

 「車があるのに酒を飲んでしまったよ。きょうは代行を呼ぼう」―。夜になると飲食街などで聞こえてくる会話だ。利用者を車で送ってくれる上に、車も一緒に運んでくれるという運転代行業。利用者の間では「代行を使えば飲酒運転をせずに済む」との考え方が定着し始めている。宮古島に新たな交通手段として登場した運転代行業が今、にわかに脚光を浴びている。
 運転代行業の申請窓口になっている宮古署の調べによると、宮古島で運転代行を行っている業者は計4社(平良市3、城辺町1)。それぞれ2002年以降に開業しているが、利用客は増えているのが現状だ。基本料金は5キロ当たり1000円が相場だ。平良市内のある業者は5キロ以上になると1キロごとに200円増となる。利用者の間では「料金もそれほど高くないし利用しやすい。何と言っても車を家まで運んでくれるのがいい」と話す。
 代行をよく利用するという平良市内に住む28歳の男性は「車を置いていくと翌朝が大変。車があれば普段通りの生活で仕事に出ることができる」と運転代行のメリットを強調した。
 運転代行業は国土交通省の許可が必要で、申請の窓口は各地の警察署で行われている。宮古では02年に平良市内の業者が開業した後、03年に2件、04年には1件が開業した。運転代行は普通免許を所持していれば可能だが、今年6月からは法改正によって2種免許が必要となる。

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