200平成1 6  曜日

接続工事を代理執行/平良市集落排水事業・

加入率アップへ新手法

 平良市(伊志嶺亮市長)は加入率が低迷する農漁業集落排水事業(農漁村部における下水道事業)の改善を図るため、各世帯への引き込み工事の代理執行やその工事費の徴収ができるよう条例改正を行う。これまで加入促進に向けては説明会やパンフレットの配布などに頼ってきたが、住民の承諾を得て市が工事に着手できるため加入率が格段に上がる。また住民が労務作業で工事に参加できることからコスト削減にもつながり、大幅な加入率アップが可能と説明する。条例改正案は開会中の市議会3月定例会に上程されている。

 平良市の集落排水事業は生活雑排水による地下水汚染や海洋汚染を防ぐ目的で久松、池間、宮島(島尻)、高野の4地区で事業導入されている。久松は1993年9月、残る3地区は2001年7月に供用開始された。現在の対象世帯は4地区合わせて1027世帯。このうち今年3月までの加入世帯は240世帯で、加入率は23・4%。もっとも早く供用開始した久松地区でも27・2%にとどまっている。久松地区については99年度に「事業の実施効果が表れていない」と会計検査院から指摘を受けた。その後、加入促進計画を策定し、取り組んできたが、計画通りに加入促進が図られなかった。
 市では国が01年6月に閣議決定した「今後の経済財政運営および経済社会の構造改革に関する基本方針」にうたわれている「公共事業のコストを削減すること」や「住民が求める社会資本を可能な限り早期に整備するため、住民参加型の手法を活用すること」との方向を打ち出したことを受け、地域住民参加型の直営施行実施要項を策定。加入率アップのために集落排水事業の引き込み工事に適用していくことを決めた。
 担当する市むらづくり課では池間地区で本年度からこの手法を採用。供用開始から2年余りでわずか1ケタだった加入世帯が、この手法により約90世帯と大幅に増えた。池村恵慈課長は「これまでは説明会やパンフレット配布による加入呼び掛けだったが、なかなか加入世帯が増えなかった。家主の承諾を得て、市が引き込み工事を代行し、その工事費を市が徴収する方法だと、格段に加入率が上がる」と説明した。
 また「技術が必要な部分の工事は業者が行うが、住民は平易な労務作業で参加。作業参加で施設に対する愛着心も生まれ、加えて大幅なコスト削減にもつながることから、住民の負担が軽くなる」と利点を強調する。本年度で実施した池間地区の引き込み工事では3、4割の工事費削減につながったという。
 引き込み工事は少ない世帯で10万円、家屋の造りによっては50万円を超える場合もあり、生活を年金だけに頼る高齢者世帯では工事費がネックとなっていた。
 今年3月現在の加入世帯は久松地区で125世帯(対象460世帯)だが、すでに新年度での加入が50世帯見込まれている。地下水源保全地域の高野地区では宮古島上水道企業団が世帯当たり10万円の工事費補助を行うため、市の管工事指定店組合に対し、この範囲内での工事施行を要請。組合の理解が得られたため、加入世帯の大幅増が見込まれている。

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当局と職労の交渉決裂/平良市職員給与問題・

「なぜ交渉前に報道出るのか」

 本紙7日付「平良市が職員給与引き下げ検討」の報道に関して8日に行われた当局と職員労働組合との交渉が紛糾、互いの意見が衝突し、交渉は決裂した。当初、職員給与を含め、市の逼迫する財政問題について互いの意見を交換し合う「予備交渉」の予定だったが、本紙報道の中身と情報の入手経路について組合側が「なぜ、交渉前にこのような報道が出るのか」などと終始、当局を追及し続けた。結局、具体的な中身もなく、次回の交渉日程も決まらないまま予備交渉は物別れとなった。

 交渉終了後に行われた当局側の会見で糸数健総務部長は「宮古毎日新聞の報道について否定するよう要望された。交渉の中身は終始、新聞報道についてだけだった」と説明した。
 これまで手当カットなどで当局に協力してきたことなどを理由に、現行を堅持する構えだった組合側は、本紙記事のコピーを当局側に突き付けて「なぜ、交渉前にこのような報道が出るのか」など、記事の中身について当局に真意をただしたが、当局側は「知らない」「私たちが情報を流したわけではない」「給与引き下げを検討している訳でもない」との回答を繰り返した。
 糸数部長は今回の予備交渉の中身について「厳しい財政事情について意見交換する予定だった。必ずしも職員給与カットについて話し合うものではなかった」と述べた。「どのような内容の話し合いを行うつもりだったか」との質問には「財政状況を説明して『協力』できる範囲の中身を話し合う予定だった」と説明した。
 本紙の報道については「私たちは報道の中身についてしゃべっていないし、なぜこのような報道になったのか分からない。どこから流れた情報かも分からない」と述べた。
 しかし、「新年度予算編成を終えた現段階で組合と交渉する理由」については「言えない」と説明。「職員給与引き下げは厳しい財政問題の一部ではないか」との問いにについては「1つの方法」と述べるなど、組合と交渉を持った理由についてはあいまいな回答を繰り返した。
 当局側は職労に対して今月5日に「予備交渉を8日に行いたい」との意向を打診。予備交渉を行った理由は来年の合併を控えて他町村の首長から「伊良部町や石垣市が厳しい財政事情の中で職員給与を削減している。平良市も検討すべき」との要望を受けたことも影響していた。
 組合側はきょう9日にも会見で組合側の見解をマスコミに説明する予定となっている。

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懲役7年6月の実刑判決/パチンコ景品交換所強盗傷人事件

 平良市西里のパチンコ店に隣接する景品交換所で昨年10月15日に発生した強盗傷人事件と犯行に使用するためレンタカーを盗んだとして、強盗傷人と窃盗の罪に問われていた宜保利治被告(46)の判決公判が5日、那覇地方裁判所平良支部で開かれ、宜保被告に対し懲役7年6月の実刑判決が言い渡された。
 判決では宜保被告に対し▽定職にも就かず、家賃や公共料金なども滞納していた宜保被告が職に就くための努力もせず生活費欲しさの短絡的、自己中心的な犯行▽犯行には怪しまれないように前もって数日前に盗んだレンタカーを使用した▽用意していたタオルで覆面した上、背後から不意に被害者を襲った―などの理由により「あらかじめ立てられた計画に基づく大胆で悪質な犯行」と厳しく指摘。さらに、▽市街地で白昼堂々と行われた犯行で地域社会に大きな衝撃や不安を与えた▽生活費欲しさの窃盗などの前科があること―などを挙げ「再犯の恐れも否定できず、被告人の責任は重大」と実刑判決を下した。
 また、▽稚拙・粗暴で場当たり的な面もうかがえるため、切羽詰まった挙げ句の突発的犯行▽被害者への暴行は財物のみに向けられたもので生命などを直接狙ったものではない―など「酌むべき事情も認められる」としたものの、「重傷を負った被害者は肉体的苦痛、理不尽な被害に遭遇した驚愕、恐怖感など精神的な衝撃は相当大きく、厳重な処罰を求める被害感情は至極当然」と厳しく非難し「本件犯行による結果の重大性にかんがみれば酌むべき諸事情を考慮してもなお、酌量すべきものがあるとは言い難く、懲役7年6月の刑に処するのもやむを得ない」とした。

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「夏に花を咲かせて」/平良市・倒木デイゴを原状回復

 旧平良港ターミナルから人頭税石へ向かう臨港道路脇の緑地帯に倒木、放置されていたデイゴの木が平良市(伊志嶺亮市長)によって原状回復された。デイゴの木はしっかり添え木され、付近の住民からも「夏には花を咲かせるのでは」と喜びの声が上がっている。
 市では復旧作業を専門の業者に委託。先月28日にクレーンなどの大型重機を使用してほぼ1日がかりでデイゴの大木を元に戻したという。
 倒れたデイゴは幹回りが約2メートルにもなる大木。昨年襲来した台風の強風で倒れたが、根がわずかにつながっている状態から、一部の枝木に新芽を芽吹かせていた。
 また、10メートル程離れた場所に同じように倒木していたデイゴの木も同様に原状回復された。

 写真説明・倒れていたデイゴの大木が原状回復され付近の住民も喜んでいる=平良市臨港道路脇の緑地帯

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「世界でも活躍を」/渡久山正人ピアノリサイタル

 渡久山正人ピアノリサイタル(主催・同実行委員会、後援・東京音楽大学、宮古市町村会教育長会、宮古毎日新聞社ほか)が7日午後、平良市のマティダ市民劇場で行われた。日本を代表するピアニスト渡久山さんの美しい音色の演奏が大勢の聴衆を魅了した。宮古でのリサイタルは4年ぶり2度目。
 プログラムは、ハイドンのピアノソノタ第52番変ホ長調で幕開け。静かな会場に美しい音色が流れ、聴衆らは酔いしれた。
 次いでべートーヴェンやシューベルト、シューマン、ショパンの名曲が弾かれ、1曲1曲の演奏が終わるたびに会場から大きな拍手が送られた。聴衆らは終始、渡久山さんの演奏の世界に浸っていた。
 聴衆の50代の女性は「日本を代表する1人のピアニスト渡久山さんの演奏を聴いて、すごいと思った。渡久山さんは宮古の誇り。これからは世界でも活躍してほしい」と話した。

 渡久山 正人(とくやま・まさと) 1975年8月30日生まれ。28歳。平良市出身。3歳でピアノを始める。北中、東京音楽大学付属高校ピアノ演奏家コース、東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。1987年に第11回ピティナ・コンペティションC級全国大会奨励賞を受賞し、その天才的才能は日本の音楽界から注目を浴びた。97年には第3回おきでんシュガーホール新人演奏会オーディションでグランプリ受賞。現在は東京を中心にジョイントリサイタルに出演している。

 写真説明・ハイドンの名曲などを演奏し聴衆を魅了した渡久山さん=7日、平良市のマティダ市民劇場

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力作ずらり展示/特殊学級養護学校・児童、生徒の作品100点

 特殊学級設置校・養護学校教育実践研究会(会長・玉元江美子宮古養護学校長)主催の「児童生徒合同作品展示会」が8日から平良市役所1階ロビーで始まった。開催期間は11日まで。開催初日は市役所に訪れた人たちが児5回目となる展示会には、宮古地区小・中学校の特殊学級や宮古養護学校の児童・生徒らの作品約100点が展示されている。
 同展示会は、特殊学級および養護学校で学ぶ子供たちの日ごろの学習成果を発表する場として開催し、作品を展示することで表現力や想像力の向上を図るとともに障害の児童・生徒や特殊教育についての理解啓発を図ることなどを目的にしている。展示された作品は市役所1階ロビーを華やかな雰囲気にし、訪れた人たちも立ち止まって1つ1つの作品を鑑賞していた。

 写真説明・児童・生徒らの個性豊かな作品が展示され、訪れた人たちも足を止めて見入っていた=8日、平良市役所

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