本日のニュース

２００４年（平成1 ６年）２月２1日土曜日

☆ 浜川町長合併推進に転換／伊良部町・町財政の立て直し困難

　先月行われた伊良部町の合併の意思を問う住民投票で「合併しない」が「合併する」に大差を付けた結果を受け、浜川健町長＝写真＝は「合併協議会からの離脱」を表明していたが、20日までに「合併支持」の方針に転換した。町議員の多数は水面下で、議会で「賛成」を強行採決する動きを見せており、今後町民の間で議論を呼びそうだ。浜川町長は今月23日に開かれる同協議会で、正式に表明する見通し。

　浜川町長は、住民投票実施以前から市町村合併については賛成を表明していた。しかし、厳しい財政状況で予算編成も困難なことから「こうした状況では合併支持の決断も必要」と述べた。
　議会も町議員18人中、13人が合併賛成の意思を示し、今後開かれる議会で「合併する」を強行採決する構え。議員の１人は「合併しないと伊良部町の財政は赤字が膨らむばかり。町長が賛成の腹を決めないと採決は難しい」と話した。
　先月27日に開かれた同議会全員協議会の終了後、友利浩一議長は、住民投票の結果について「民意を尊重するが、今の段階では何とも言えない」と話し、議会での合併賛否については即答を避けた。
　一方、「伊良部町の自治権を守る会」（会長・川満昭吉元町長、理事８人）の川満会長は「近く理事会を開き、今後の対応策を検討したい」と説明。その上で「合併協議会で、浜川町長の表明を聞いた上で、リコール運動を展開するかどうか理事会に諮りたい」と語った。
　同町では逼迫する財政から方針を一転。新年度の一般会計予算編成の中で、多額の歳入不足が表面化した。歳出抑制を強化し、約２億3000万円までに圧縮。当局側は、歳入不足を補うため、自治労連伊良部町職員労働組合（仲間勝行執行委員長）に一般職員181人の基本給一律10％、総額にして約8500万円の案を提示。しかし、同組合は「基本給カット案は認めない」と拒否を続けている。

☆ 米軍機５機が飛来／下地島空港・県の再三の自粛要請を無視

　在沖米海兵隊は20日午前、フィリピンで行われる米比合同演習「バリカタン04」参加のため、ＣＨ－46型輸送ヘリ４機とＫＣ－１３０空中給油機１機の計５機を給油目的で伊良部町の下地島空港に着陸させた。上空には通告のない空中給油機１機が現れて旋回を続けた。昨年５月に続く、４年連続の飛来。ヘリ４機は、フィリピンのバタン島バスコ空港に向け離陸した。日米地位協定で民間空港使用に制限はない。給油中、民間航空機１機がタッチ・アンド・ゴー（離着陸）の訓練を行っていたが、訓練への支障は無かった。フェンス越しには平和市民団体などが拳を突き上げながら「戦争につながる米軍機は出て行け」などと抗議した。

　県の儀間朝昭知事公室次長は「再三の自粛要請にもかかわらず遺憾だ」と反発し、在沖米海兵隊外交政策部を訪ね、ジェームス・フロック基地司令官あてに抗議した。

　同日午前８時40分、空中給油機が着陸。次いでヘリ４機が次々と着陸した。海兵隊員らがホースを使って燃料を補給した。同９時31分、ヘリ４機は空中給油機を残し、次々と飛び立った。空中給油機も同９時56分に離陸した。着陸から離陸までの時間は１時間16分だった。米軍機が着陸した場所では油もれが数カ所確認され、県下地島空港事務所の職員らがふき取った。
　浜川健町長は「毎年米軍機が飛来すると、下地島空港は軍事化目的につながる」と憂慮した。
　伊志嶺亮平良市長は「またか、という感じがする。県による自粛、私たち（市民・郡民）が軍事利用を断固反対しても、それは無視され、民間空港の軍事利用は継続されている。大変残念であり、強い憤りを感じている」とコメント。
　米軍が民間空港を使用する根拠となっている日米地位協定五条は、日本国内の空港や港湾の出入りを自由に与え、使用目的にも限定はない。
　海兵隊はこれまで「中型のＣＨ－46型輸送ヘリは空中給油できず、船舶搭載ができない」と説明し、民間空港で給油を実施した。同演習は、今月23日から３月７日まで行われる予定。演習終了後の３月11日、ＣＨ－46型輸送ヘリ４機は沖縄本島へ帰還途中に再び下地島空港に飛来し、ＫＣ－１３０空中給油機から給油を受ける予定。

　写真説明（上）・民間機が訓練する中、飛来した米軍ヘリ＝20日午前、下地島空港
　写真説明（下）・フェンス越しから米軍機の飛来に抗議する平和市民団体＝20日、伊良部町の下地島空港

☆ 「決意変わらないと」と西里氏／県議選宮古郡区・

新里自治会の要請に前向き

　６月６日投票の県議会議員選挙宮古郡区（定数１）に向け、上野村新里部落自治会（伊志嶺一之会長）は20日、地元から候補者を擁立しようと同地区構造改善センターで同村の前助役、西里秀徳氏（60）へ出馬要請を行った。西里氏は「皆さんの熱い思いを無駄にすることなく、真剣に検討する」と前向きな姿勢を見せた。要請には２人の同村議会議員を含む約60人が出席し西里氏出馬へ期待を寄せた。
　同会では去る17日、役員や地元出身の同村議員らで西里氏出馬への要請を協議。住民の意見を政治に反映させ、地域住民とともに活性化に向け汗を流せる政治家が求められるとし、政治、行政の実績や農業分野における先進的な取り組み、うえのドイツ文化村と南岸リゾート開発などの実績を高く評価し、全会一致で要請を決定した。
　要請を受けた西里氏は「農漁村の発展は宮古島にとって重要な問題の１つ。これから何をするべきかを考え、次なるステップへ前進することを誓う」と述べるも、出馬表明に関しては「決意は変わらない。（表明の）時期はもう少し後」と明言を避けた。
　伊志嶺会長は「部落会として西里氏支援への団結は深まっている」と全力で支援する方針だ。
　郡区では西里氏のほか、現職の砂川佳一氏（60）、城辺町教育委員の下地一美氏（52）、浦添市議会議員の島尻忠明氏（37）らも出馬に向けて意欲を見せている。

　写真説明・西里氏（右）へ伊志嶺会長から出馬要請書が手渡された＝20日、上野村新里の構造改善センター

　下地町選挙管理委員会（洲鎌栄一委員長）は20日、定例委員会を同委員会室で開き、同町の合併について意思を問う住民投票を３月28日に実施することを決定した。告示は３月23日。市町村合併についての住民投票は伊良部町、多良間村に続き３番目で、宮古本島内では初めて。昨年12月１日現在の有権者数は2421人（男性1165人、女性1256人）。有権者の２分の１以上に当たる1210人の投票で成立する。
　下地町に先立ち行われた伊良部町と多良間村の住民投票ではいずれも「合併しない」が過半数を占め、町長選や村長選の影響が色濃く出た形となった。しかし、現在下地町ではそうした動きは見られず、純粋に合併是非についての意思が反映されそうだ。その反面、下地町が昨年情報提供として各部落を２巡して実施した住民説明会への参加者が少なく、関心の低さが町当局の頭を悩ませている。当局は製糖期が終了する３月中旬ごろから住民説明会を実施する計画で、新たな情報提供と住民投票への参加を呼び掛けていく。
　投票会場は下地町役場１階大会議室と来間島離島振興総合センターで、時間は午前８時から午後６時まで。開票は午後７時半から。期日前投票は３月24日から27日までで、会場は下地町役場１階大会議室。時間は午前８時半から午後５時まで。

☆ キビ糖度高水準で推移／操業１カ月・

沖糖13･９度宮糖城辺14･0度

　宮古本島内の製糖２工場（沖縄製糖宮古工場、宮古製糖城辺工場）の2003－04年期産サトウキビ製糖の操業が20日で１カ月となった。両工場に搬入された原料は合わせて約９万8000トン。平均糖度は沖糖宮古工場が13･96度、宮糖城辺工場が14･06度と高い水準で推移している。下地町洲鎌の60代の男性は「台風の時は大変心配した。しかし、被害は思っていたより少ない。キビの生命力は、ウカースムヌ（すごい）」と明るい表情を見せた。

　同期産サトウキビは２－５月と７－８月の干ばつによって成育が阻害され、９月の台風14号で葉の裂傷や茎の折損などの被害を受けた。しかし、その後は適度な雨が降るなど順調な回復を見せた。
　沖糖宮古工場には約５万4000キロの原料が搬入され、累計の平均糖度は16･96度。糖度の区分別内訳を見ると、基準糖度帯内（13･1－14･3度）が43･7％、同糖度帯以上が37･9％と、８割以上が基準を上回っている。糖度の最高は17･4度、最低は９･３度。トン当たり農家手取り額は２万465円と基準額の２万300円を165円上回っている。同社の平良英輝工場長は「歩留まり（品質）は目標通りいく。原料も11万3000トンを見込んでいたが、それを上回る可能性がある」と楽観的の見通しを示す。
　宮糖城辺工場の原料搬入量は、４万4072トンで、平均糖度は14･06度。糖度の区分別内訳は基準糖度帯内が45･6％、同糖度帯以上が40･0％と、搬入された原料の85％が基準以上となった。最高は17･3度、最低が９･５度。トン当たり農家手取り額は２万529円で、基準額を229円上回っている。
　同工場の川満長英農務部長は「糖度は少しずつ上がっているが、収量は干ばつ、台風の被害が大きく厳しい。茎が短く、枯死茎も多い」と厳しい見通し。同工場は９万2000トンの原料を見込んでいたが、これを下回りそうだという。

　写真説明・宮古本島では家族ぐるみで毎日サトウキビ収穫に精を出している＝20日、下地町洲鎌