200平成1 6  15 曜日

美ぎ島(かぎすま)目指し意見提言/新しいまち・むらづくりセミナー

 NPO法人農都共生全国協議会の第六回地域セミナー「新しいまち・むらづくり実践セミナーin平良市」が、14日午前10時から平良市のホテルアトールエメラルド宮古島で開かれた。メーンテーマに「環境保全と健康・交流、水とみどりの美ぎ島をめざして」を掲げ、自然環境と生活環境の課題を視察しながら、平良市が進めてきた「健康ふれあいランド構想」とリンクした「環境保全と健康・交流」のコミュニティーづくりについてパネルディスカッションなどを行った。

 ディスカッションでは多良間伸也代表、浦崎康克宜野座村長、宮平エミ県宮古農業改良普及センター所長、座喜味一幸宮古土地改良区事務局長、伊志嶺亮平良市長がパネリストとなり実践例を報告。農林水産省農村振興局の松本雅夫課長補佐、環境省の小野寺浩自然環境局長が、実践例に対するアドバイスを行った。浦崎村長は赤土流出防止条例の制定や、下水道整備による水質保全対策、堆肥工場の設置、月桃植え付けによる耕地から河川への赤土流出防止策などを紹介。また健康づくり施策では「健康ウオークの日」を制定していることを説明した。
 座喜味事務局長は地下ダムが宮古の農業にもたらした効果について「バブル期には本土企業の買い占めなどもあり、遊休農地が数多くあったが、地下ダムが完成し安定的に水が供給されるようになってからは、ほとんどの農地が耕作され、遊休地はなくなった。計画的な農業ができるようになり、農業で村が元気になった」、「沖縄のサトウキビ生産量は落ち込む一方だが、宮古に限って言えば横ばいの状況が続いている」と紹介。「宮古の地下水は水質も良好で、ミネラル分も豊富に含まれている。今後は畜産による排水や化学肥料、生活雑排水などによる環境負荷の低減に取り組まなければならない」などと話した。
 多良間代表は会社設立から現在までを紹介し、ブランドの確立や農薬使用を少なくした有機的な野菜づくり、若い農業者の育成などについて説明した。宮平所長は宮古におけるグリーンツーリズムの取り組み状況について、「農家の多角経営のために実践している。現在は農家民宿が1軒しかないが、野菜づくりや料理体験など行い、リピーターも多い。また郷土料理にこだわっている」と話した。そのほかには農漁村の女性たちによる加工品づくりが積極的に行われ、活気があることをアピールした。
 伊志嶺市長は「地域では過疎化が進み、その地域にある伝統的な祭りの継承が危ぶまれている。今踏ん張らなければならない。地域の力を行政としてもつくっていかなければならない」と地域コミュニティーの崩壊に対する危機感を表明した。
 セミナーの前半は松本農村政策課長補佐による、「水とみどりの『美の里』プラン21と農村振興政策」と題した政策説明、伊志嶺市長による「現地からの報告」、小野寺局長による基調講演「地域ぐるみの取り組みによる自然再生事業の推進を」などが行われた。松本課長補佐は米国人と日本人の気質の違いを例にしながら「米国人は自分のところがいかに良いところか、ということを積極的にアピールする。逆に日本人は自分のことを謙虚な姿勢で、あまり優れていないような言い方をする。『自分のところは何もない田舎ですから』と言い続けていると、その人たちは、自分の住んでいる地域に誇りが持てなくなる。『自分のところは良いところだ』と常にアピールしていくことが地域の活力を生む。自分の地域に誇りを持つことが、地域づくりを進める上で重要だ」と提言した。

 写真説明・農業と環境保全、地域コミュニティーに関して各氏が意見を述べた=14日、ホテルアトールエメラルド宮古島

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「サンゴの成長 助けよう」/宮古のサンゴ礁セミナー

 サンゴ礁の保全について漁業や観光関連従事者の共通認識を確立することや保全に関する意識の高揚を目的にした「宮古のサンゴ礁セミナー」(主催・県宮古支庁)が13日夜、平良市中央公民館で開かれた。東海大学海洋研究所助教授の横地洋之さんと池間島でカツオ一本釣り漁を営む伊良波進さんが、人間とサンゴ礁の関わりについて講演。海域におけるサンゴの果たす役割や現状を説明しながら、「サンゴを守る動きが宮古から始まることを期待する」、「1人1人が海を汚さないよう心掛け、サンゴの成長を助けよう」と述べた。また宮古近海でも発生が確認されているサンゴを食い荒らすオニヒトデについては、「対策は人海戦術によって1つ1つ捕獲するしかない」との説明がなされ、異常発生の前段階での対策が必要と認識が示された。

 横地さんは「サンゴ礁と人とのかかわり〜なぜサンゴ礁を守らなければならないか〜」と題して講演し、サンゴ礁の漁場、環境浄化、防災、景観のそれぞれの機能について説明した。その中で「サンゴ礁は複雑な形をしていて、魚や貝などの生物にとって、隠れやすく、生息場所として適している。サンゴの内部では光合成によって有機物をつくり、その栄養でサンゴは生きているが、サンゴ自身が取り入れている栄養はその10%にすぎず、残りは粘液として表面に付着している。この粘液がプランクトンの死骸をからめ取ったり、魚や貝のえさになったりする。死骸をからめ取り、有機物から無機物に変えることで海底が浄化される。いろいろな生物がいるから海域がきれいになる。サンゴは海底をきれいにする重要な役割を持っており、サンゴが死滅することは海域にとって大変なこと」と説明した。またサンゴ礁があることによって大きな波を防ぐという防災機能や、美しいサンゴによって人間に安らぎとゆとりを与える景観機能などを紹介した。そして埋め立てや浚渫、赤土の流入、乱獲など人為的要因によるサンゴ死滅について説明しながら、「白化現象も人為的要因が強く影響しているのではと疑われている」と人々によるサンゴ保全の動きが顕著になることに期待した。
 伊良波さんは55年におよぶ漁師体験を通して、「宮古には大小350もの砂浜がある。これは周辺の海にサンゴが豊富だという証。サンゴを大切に、1人1人が海を汚さないようにしよう」と呼び掛けた。またサンゴの白化現象が問題になった1998年ごろの八重干瀬について、「サンゴが死んでしまったため、固い海藻が付着せず、柔らかい海藻が付着するようになった。柔らかい海藻はサザエの好物で、そのころの八重干瀬ではサザエの大漁が続いた」と珍話を紹介した。

 写真説明・ダイビング関係者や市民らがサンゴの保全について認識を深めた=13日、平良市中央公民館

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オニヒトデまん延の兆し/宮古の南海域で異常発生

 サンゴに食害を与えるオニヒトデが城辺町や下地町来間島、伊良部町下地島などの南海域で異常発生しているのが14日、分かった。枝サンゴなどの中には、オニヒトデに食べられた痕跡が確認され、宮古全海域にオニヒトデがまん延する危険信号がともった。同日、平良市役所で開かれた県のオニヒトデ対策会議(議長・我那覇晃県自然保護課長)の会合で明らかになった。
 この日の会合には学識経験者ら11人が出席し、南海域での調査を踏まえた上で、積極的な意見交換を交わした。
 学識経験者らは、「今回発生したオニヒトデの一次集団を早急に駆除しないと、宮古全海域に広がりサンゴが死滅する」との見解を示した。しかし、宮古の行政がオニヒトデ駆除費をバックアップできるのかどうかが大きな課題の1つに挙げられた。
 和歌山県の串本海中公園センターの学術部課長で学芸員の野村恵一氏は「オニヒトデが宮古全海域にまん延するのは時間の問題。今の一次集団が大きくなると、サンゴが無くなる」と警鐘を鳴らし、徹底した対策を講じない場合、サンゴ保全が手遅れになることを指摘した。
 同会議では、県が進めている宮古地区での「最重要保全区域」についても検討。オニヒトデに食害されているサンゴ礁の中から保全区域を選択するには至らなかった。保全区域に指定されると「サンゴ礁保全対策支援事業」の一環で、サンゴ保全の定期的調査・成育状況調査などが実施される。
 宮古圏域海洋危険生物対策協議会の委員でもある平良市栽培漁業センターの梶原健次氏は「宮古の保全区域をどうして14カ所の候補地から絞るのか。絞る理由が明確にされていない」と述べ、全海域の指定を要望した。

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ムツウサに興味津々/城辺町・稲嶺知事が工場視察

 稲嶺恵一知事は14日午後、宮古本島内の2製糖工場や城辺町内で宮古ビデンス・ピローサ(和名・タチアワユキセンダングサ、方言名・ムツウサ)を加工している「かぎすま宮古」を精力的に視察した。視察後に稲嶺知事は「印象的な視察になった」と強調し、台風被害を受けた製糖工場の順調な稼働状況やかぎすま宮古の産業創出に喜びと期待感を示した。
 稲嶺知事は同日午前にオリックスのキャンプ地である平良市民球場を訪ねた後、午後から宮古本島の各地を視察した。沖縄製糖宮古工場、宮古製糖城辺工場を訪ねた後、城辺町のかぎすま宮古を視察、それぞれ関係者から説明を受けていた。
 このうち、かぎすま宮古では宮国匡社長のほか、城辺町の仲間克町長や川満広紀産業振興課長が応対し、同工場内における作業内容を詳しく説明した。稲嶺知事は宮古本島内で栽培されたムツウサを洗い、乾燥させている様子を興味深そうに見ていた。ムツウサを原材料とする「かんぽう茶」も試飲し「飲みやすい」と述べ、県も推奨している健康食品のさらなるPRを促した。
 視察の全日程を終えた稲嶺知事は「製糖工場については、工場が昨年九月の台風で被害を受けていたために心配していたが、両工場ともに昨年並みの稼働率と聞いて喜んでいる」と胸をなで下ろした様子。ムツウサ工場については「今、沖縄県の健康食品は順調に伸びている。宮古でも(かんぽう茶の)島産の製品ができ、素晴らしい産業が生まれることを期待している」と話していた。

 写真説明・ムツウサ工場を視察する稲嶺知事(中央)=14日、城辺町内にあるかぎすま宮古の工場内

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池間大橋開通記念し20キロウオーク/池間小創立100周年もPR

 池間大橋開通記念日の14日、池間島の住民たちは平良市役所前から同島まで約20キロを歩き、開通記念日を祝うとともに、池間小学校創立100周年をPRした。主催は池間子ども会育成会(小禄有子会長)、共催が平良市立池間小学校創立100周年記念事業期成会(与那嶺誓雄会長)。おそろいのTシャツを着て大橋を渡った子供たちは「橋のおかげで車で宮古島に行けるようになり、生活が便利になった」と先輩たちの努力に感謝した。
 市役所前で午後1時過ぎから出発式があり、子ども会育成会の平良若代副会長と期成会の与那嶺会長は「元気いっぱい歩き、100周年記念事業をPRし成功させよう」と呼び掛けた。
 1992年2月14日に開通した大橋はこの日、12回目の誕生日。開通当時、池間自治会長を務めていた嵩原忠太郎さんは「生活は便利になったが、若者が島から出て行っている」と12年を振り返った。
 池間小学校は1903(明治36)年に創立し、今年の11月28日に100周年記念式典の開催を予定している。

 写真説明・大勢の住民が大橋の開通記念日を祝い、歩いて渡った=14日、池間大橋

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腕磨きお父さんと勝負したい/伊良部町・親子ゴルフ教室開催

 伊良部町教育委員会(前泊直喜教育長)主催の「親子&レディースゴルフ教室」が14、15日の2日間の日程で町営ゴルフ場で開かれた。親子ら約40人が参加し、アプローチやパットをレッスン。全員がゴルファーの気分を満喫した。
 同教室は、親子と女性たちの健康増進と併せて余暇の有効利用を図るのが目的。講師は浜川雄さんと与那城和昭さんの2人が務めた。
 この日の参加者らは、5・6・7番アイアンやピッチングウェッジのクラブを使ってレッスンを受けた。
 子供たちは力強いスイングを披露。ボールが遠くまで飛ぶと歓声を上げていた。初めて挑戦する女性の中には「予想以上にボールが飛んだ。ゴルフ好きの主人と勝負したい」と意欲を示した。
 講師の2人は「全員に素質がある。これからの成長が楽しみです」と口をそろえて評価した。
 同委員会職員の仲間勝行さんは「全員が上手だった。子供の中からゴルフ選手が出るかもしれない」と話した。

 写真説明・力強いスイングを見せていた参加者ら=14日、伊良部町のサシバリンクス伊良部

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