200平成1 6  曜日

県に財政支援を要請/平良市04年度予算歳入欠陥問題

 平良市(伊志嶺亮市長)が6億7000万円の歳入欠陥のまま1次内示した2004年度予算案について、県内の各自治体でも編成作業が困難な状況になっていることが5日までに分かった。同じ先島地区の石垣市は歳入に対する歳出の不足額が平良市以上の12億円とさらに厳しい状況となっている。平良市同様に基金も底を突いている状況で4日には県への支援要請行動について平良市に打診。平良市も同一歩調で取り組むことを石垣市に伝えた。また、この問題について国では総務省の香山充弘事務次官が5日に行われた会見で予算編成の見直しを県を通じて平良市を指導していくとする考えを示している。

 県への支援要請について石垣市は今後、県内11市の財政課長会議に同様の提案をして県に具体的な支援策などを求めていく予定だ。
 歳入不足が12億円となっている石垣市は現在予算編成中で来週内示予定。基金もほぼ底を突いた状態であることから人件費についても一部削減を予定している。
 石垣市の慶田城章財政課長は「平良市同様に石垣市も基金が底を突いて予算編成も難しい状況。来週中には内示する予定だが、その前に平良市など県内の11市と調整して県に支援を働き掛けたいと思う。もし、他市との調整が図れなかった場合でも平良市と県に要請したい」と述べた。
 石垣市からの働き掛けに平良市も同調する構えで狩俣照雄財政課長も「県の支援策があるのならば石垣市と一緒に要請したい」と述べた。
 一方、総務省の香山事務次官は平良市の「赤字予算案」編成について、要件を緩和した「地域再生事業債」と「財政健全化債」の弾力運用により歳入を補うよう対応を求めるとともに「法律上、自治体は赤字予算を組んではいけない。収入見積もりに対応し、歳出をカットしてほしい」と述べ、県を通じて指導していく考えを示した。
 国の「三位一体改革」のスピードに追い付けず平良市、石垣市同様に新年度予算編成で苦慮している自治体は県内にも多数あると予想され今後、両自治体の動きが国、県にどう影響するかも注目される。

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地下水保全で法律制定を/サミット開き宣言

 地下水保全に取り組む全国の7自治体が一堂に会し論議を深め、法整備など必要な措置を求めていくことを目的に5日午後、平良市内のホテルで「全国地下水サミット」(主催・平良市、共催・宮古島地下水水質保全対策協議会など)が開かれた。各首長がその地域の取り組み状況や課題について意見を交わした後、「抜本的かつ総合的な地下水保全の社会制度は未整備の状況。国に対し地下水保全に関する総合的な法律の制定を求める」とするサミット宣言を行い、閉会した。

 サミットに参加したのは主催した平良市(伊志嶺亮市長)をはじめ千葉県市川市(千葉光行市長)、君津市(三浦公明市長)、熊本県熊本市(幸山政史市長)、鹿児島県喜界町(加藤啓雄町長)、および県内から、具志頭村(諸見里真常村長)、石垣市(大濱長照市長)の7自治体。主催者あいさつした伊志嶺市長は「宮古島は生活用水のほとんどを地下水に頼っており、本土復帰前から地下水管理条例を制定して地下水を保全してきた。その後、化学肥料や生活排水などによる亜硝酸性窒素濃度の高まりなど地下水汚染問題が深刻になった時期もあった。島を挙げた取り組みで事態は改善されつつあるが、低い森林率やさまざまな環境問題を抱えており、地下水保全は宮古の重要課題。今、水基本法制定の機運が盛り上がっており、地下水に関しても抜本的な法整備の必要性が問われている」と積極的な議論を促した。
 基調講演した君津市役所職員で東京大学先端研究所客員研究員の鈴木喜計(よしかず)さんは「命の水、その確かな未来」と題し、地下水の仕組みや地下水汚染の例などを紹介しながら、「地下水のかん養地に最終処分場があったり工場誘致をしたりすると取り返しのつかないことになる」と指摘し、「宮古には20カ所もの水源流域がある。流域ごとに観測地を設けてモニターしていけば地下水の水質状態が分かる」とアドバイスした。最後に「宮古島ではすべての用水が地下水であり、まさに生命線。その地下水管理のための英知の結集と実践の継続がなされなければならない。そして地下水利用の優先順位は飲料水、食品産業、農業、そのほかの産業の順でなければならない」と述べた。
 サミット会議で君津市の新井孝男市民環境部長は、工場の進出によって地下水が有塩素化合物汚染された経験を紹介し、「汚染を知ったとき、大変なことだと思ったことが重要だった」と振り返り、「それまで水と土壌は個別のものとして認識していたが、汚染の実態調査、対策、メカニズムの解明などによって、総合的な認識ができていった」と話した。熊本市の古川泰通環境保全部長は「熊本市は世界的にも有数な地下水都市として知られているが、その水量に不安が出てきた。隣接する町の水田が国の減反政策によって半減したことで、水源かん養の役割も半減した。これを防ぐための事業を新年度から展開することになっている」と説明した。

 写真説明・全国から7自治体の代表が集まり地下水保全に対する意見を交わした=5日、ホテルアトールエメラルド宮古島

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「反対」覆る可能性も/多良間村住民投票・

議員は賛成派5人、反対派4人

 【多良間】多良間村議会(長嶺春勝議長)は、「合併しない」が小差で上回った同村の住民投票結果を受け、来月上旬にも臨時会を開き議会としての意思決定を行う予定。合併賛成派の議員5人は合併に「賛成」の意思を堅持する考えで、住民投票の結果が覆される可能性が高くなった。住民の間ではリコール運動の準備を進めている動きもあり、今後の動きが注目される。
 同議会では議長をのぞく9人の議員のうち、西平幹、森山実夫、石原朝英、安里積千代、洲鎌哲の5氏が合併「賛成」、美里泰秀、佐久本昇、嘉手苅光徳、上地玄純の4氏が「反対」の意思を示している。
 合併賛成派の西平氏は「住民投票では合併反対が上回ったがわずか37票差。合併に賛成した住民は半数近くいる」と述べ「この住民のためにも合併賛成の意思を貫き通したい」と話した。
 住民投票では「合併しない」が476票、「合併する」が439票となり、合併反対が37票差で上回った。
 投票率は92・62%。兼濱朝徳村長は住民投票の結果を尊重し合併反対の態度を表明しており、今後の最終判断は議会にゆだねている。
 合併反対を主張し運動を展開してきた住民グループ「多良間村の自治と自立を推進する会」は議会議員の解職(リコール)を求める署名活動に必要な代表者15人の証明書申請を、2日に村選挙管理委員会へ行った。
 5日に委員会を開いた村選管は、きょう6日付で証明書を交付する。

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「不安解消に努める」/平良市西原産廃火災問題・

専門委の最終報告受け、市長

 平良市西原で2001年11月に起きた産業廃棄物最終処分場火災問題で、県が設置した「宮古産廃処分場調査の検討評価に関する専門委員会」(委員長・渡邊昌東京農大教授)が今月2日、比嘉茂政副知事に最終の検討結果を報告したのを受け、伊志嶺亮平良市長は5日午後、市役所で記者会見を行った。伊志嶺市長は、同委員会の「住民の健康被害は生じない」という安全宣言に関し「今でも住民は環境の変化を体で感じている」と精神的な被害を憂慮した上で「これからも住民の不安解消に努めたい」と述べ、全力を挙げて取り組んでいく姿勢を示した。
 伊志嶺市長は、同委員会が報告した調査内容について、▽火災前のダイオキシンは基準値以下▽火災によって起きたダイオキシン量が重大な環境汚染の原因となったり、健康に被害を起こすものではない▽処分場内のボーリング個所の水位変化がないことから、海へ流出することはない―などを挙げ、これが「平良市調査委員会と県の専門委員会との調査結果に大きなかい離がある」と指摘した。その上で「住民の不安解消に向け、今後とも県と向き合って話し合っていきたい」と重ねて強調した。
 また、伊志嶺市長は、今月中に環境問題対策委員会を立ち上げる考えを示し、「この委員会には、市調査委員会のメンバーも入るので、その方々の意見を聞きながら県としっかり話し合いたい」と決意を新たにした。
 この日の記者会見に同席した後藤浩行生活環境課長は、2日に県に報告した後の渡邊委員長の弁として「大浦住民に(調査結果の内容を)説明するのもやぶさかでない」と語ったことを取り上げた。

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作業療法室が開所/宮古病院精神科・

患者の早期社会復帰に期待

 県立宮古病院(恩河尚清院長)の精神科作業療法室が5日午後、開所した。同室は同病院精神科病棟に入院する療養者が利用する施設。調理場やトイレ、畳間、喫茶コーナーなどを完備しており、患者が訓練で利用しやすい環境が整っている。同日夕に式典が開かれ、病院職員ら関係者が一堂に会し、患者の早期社会復帰の一助となることに期待した。
 同室は同病院の新館地下1階にある売店の横に設置されている。延べ床面積は147・6平方メートル。室内には冷房が完備されているほか、身障者用のトイレも設置されている。
 同室内における業務内容は@精神科作業療法の企画・運営A精神科病棟レクリエーション活動の企画・運営B精神障害を持つ当事者および家族を支援する心理教育活動の実施C精神科リハビリテーションを支援する人々との交流の場―などとなっている。
 同室の開所セレモニーは午後4時30分から開かれ、宮古病院の恩河院長や県病院管理局管理課の松本廣嗣副参事、宮古福祉保健所の高江洲均所長、みどりの会の宮国恵憲会長、真喜屋精神神経科医院の真喜屋浩院長がテープカットで開所を宣言した。
 この後室内で式典が開かれ、宮古病院の恩河院長が「作業療法室では患者さんが自立して社会復帰の意欲が出る訓練指導ができる。利用する患者さん、運営するスタッフが一丸となって施設の役割が果たせるよう努力したい」と式辞を述べた。
 続いて県病院管理局の平井哲夫局長(代読・松本副参事)が「この療法室で社会復帰のための身体と心のリハビリができる。地域の精神科治療に大きく貢献されることを祈念している」と療法室の開所を祝った。

 写真説明・宮古病院の恩河院長らがテープカットを行い作業療法室を開所させた=5日、県立宮古病院

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オリックスキャンプ便りA/1軍定着に自信・

糸満市出身 徳元 敏投手

 「昨年は(シーズンの)スタートは良かった。後半で疲れがきてしまった」と、徳元敏投手(27)は不振に終わった昨シーズンを悔しそうに振り返った。
 昨シーズンの反省をもとに、オフの自主トレーニングでは走り込みに時間を割いた。体重を5、6キロ絞り「下半身が安定している。開幕に向け良い準備ができた」と充実感に満ちた笑顔を見せた。
 今キャンプでも下半身強化を重点的に行う。ウエートトレーニングなどで黙々と汗を流す。今シーズンに懸ける思いは強い。
 チームが目標とするのはプレーオフ進出。「先発でも中継ぎでもかまわない。1年間通してチームに貢献したい。そうすればチームとしての結果もおのずと良くなる」と最下位に終わった昨季の巻き返しを誓った。
 「宮古は糸満に似ている。とてもゆったりしている。宮古の環境が僕に力を与えてくれる」と宮古への思いを話す。チームでただ1人の県出身者として期待は大きい。
 徳元 敏(とくもと・さとし) 1976(昭和51)年9月20日生まれ。糸満市出身。身長180センチ、体重86キロ。右投左打。背番号43。沖縄水産高校―東京農業大学。98年のドラフト5位でオリックス入団。プロ6年目。昨季成績は26試合1勝3敗、防御率6・72。

 写真説明・気合いのこもったピッチングを見せる徳元投手

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