200平成1 6  曜日

歳入欠陥のまま1次内示/平良市04年度予算・

不足額は6億7000万円

 平良市(伊志嶺亮市長)は2日、各部課に2004年度予算案を内示し、その概要を公表した。一般会計の予算額は歳入歳出の差額が6億7172万7000円で初の歳入欠陥内示となった。歳入歳出は歳入が151億9675万9000円(前年度比8%減)、歳出は158億6848万6000円(同比4%減)となっている。厳しさを増す予算編成の中で当局は臨時職員の25%(45人)削減など各種歳出抑制を行う方針。また、新規事業については予算規模を縮小、継続事業についてはペースダウンを図っていく。最終内示は今月9日に行われる。
 1997年度から2002年度まで平良市は6年連続赤字決算で、これまでの予算編成時には「財産売り払い収入」で欠陥額を計上し、歳入歳出の帳尻を合わせていた。しかし、今回は欠陥額が6億7000万円と大きいことや「ガラス張りの行政運営を」との意向から初の歳入欠陥のまま内示となった。
 来年度予算は、長引く不況の影響で依存財源のうちで構成比が最も大きい地方交付税が6・3%減。地方交付税減に対する財政措置として設けられた「臨時財政対策債」の枠が約3割減となったことで借入額も抑制され市債も13・3%の減額となった。また、自主財源の柱である市税の落ち込みなども影響した。依存、自主財源の構成比では依存財源が76・7%、自主財源が23・3%となっている。
 今回の内示について当局では「国の三位一体改革と市の取り組んでいる財政健全化計画のスピードが合わず国の取り組みが予想より早い。これが今回の歳入欠陥に影響している」と説明した。
 普通会計で累積赤字が16億円を超えたら再建団体と言われる中で、今回の6億7000万円の歳入欠陥は「再建団体」の4文字がちらつく内容となった。
 歳出の抑制については、投資的経費の普通建設事業費が前年度比25・8%(12億1224万円)の大幅減。内訳は県営事業負担金が5000万円増額されたほかは補助事業費が12億4719万3000円減、単独事業費が2046万2000円減となっている。
 そのほか、新規事業としては宮古広域葬祭場建設負担金1441万1000千円、小・中学校施設整備事業費として6712万5000円が計上されたほか、平良市で開催が予定されている全国重要無形文化財保持団体全国大会経費974万円などが盛り込まれた。継続事業については根間地区区画整理事業等まちづくり総合支援事業費2億3510万円などが盛り込まれている。

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『影響ない』と安全宣言/平良市西原産廃火災評価報告・

自治会長らは反論

 【那覇支局】2001年11月に平良市西原で起きた産業廃棄物最終処分場火災問題に関し、「宮古産廃処分場調査の検討評価等に関する専門委員会」の渡邊昌委員長(東京農大応用生物科学部教授)は2日午後、県庁を訪れ、比嘉茂政副知事に同委員会検討評価の報告を行った。今後ダイオキシン類による人体や周辺海域の魚介への影響はないと安全を宣言。その上で、提言として▽排水経路の確保▽たまり池の埋め立て・覆土▽焼却施設の解体・撤去―などを示した。比嘉副知事は専門委の解析に感謝し「報告の内容を踏まえながら、平良市とも提携し環境モニタリングを実施して住民の健康増進に努める」と話した。報告後の会見場で、被害を受けた大浦地区の下地博和自治会長らは県の調査データへの疑問を投げ掛け、専門委の判断に反論。処分場たまり池の埋め立て・覆土をすることにも強く反発し、完全撤去を訴えた。
 報告で渡邊委員長は、専門委の委員7人で検討評価を行い、県の意向はなく独立性の高い委員会として報告書をまとめたことを強調した。報告によると、火災前には、焼却施設稼働時の大浦地区の大気中のダイオキシン類の平均暴露濃度は、全国平均も環境基準も下回っていたと評価。火災による埋立廃棄物や燃焼した廃棄物残さによるダイオキシン類も土壌環境基準の70分の1で、環境汚染や健康被害を起こす濃度ではないとする。火災時と火災後1週間は、煙による数ピコグラム/立方メートル程度(ピコは1兆分の1)の大気汚染の可能性も否定できないが、耐容1日摂取量の4分の1以下とした。ダイオキシン類以外の金属、化学物質なども環境基準以下の値とした。さらに、処分場内のたまり水、集水池、ボーリング個所の水位変化はほとんどなく、処分場内の水は島尻層群泥岩により処分場外部へ汚染が広がる可能性はないとした。
 結論として、渡邊委員長は「今後ダイオキシン類による人体や魚介への影響はない」と安全を宣言。「焼却場の作業者でも血液中のダイオキシン類濃度は国民平均の半分であり、血中にダイオキシンがたまるような操業ではなかった。覆土してもいい」と話した。また、今後の調査の必要性の有無については「これ以上調査するのは金の無駄遣いで、何も見つからない」と言い切った。住民説明について渡邊委員長は「住民から要望があれば、出掛けて説明するのはやぶさかでない」と話した。
 大浦の下地自治会長は「火災前は処分場から水が常に流出していた。火災が起きて土手を上げた。水が流れ出ないというのは事実と違う」と再考を促した。「現場を覆土して済むものではない。覆土で住民の不安は払しょくできない。きれいに取り除いてほしい。根本的に美ら島にしてもらいたい」と訴えた。
 前平良市調査委員会の関口鉄夫委員長は「県の調査の情報の検証もせずに、安全を言うのは問題。(廃棄物を)あのまま大浦に放置しておけというのは極めて重大な発表」と、県の調査の検証の必要性を強調し、専門委に情報を提供していない平良市の対応の遅れも問題とした。

 写真説明・比嘉副知事に産廃調査検討評価の報告をする渡邊委員長(左)=2日、県庁副知事応接室

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これが日本の古典芸能/「ザ・ベスト・オブ能・狂言」・

中学生対象にレクチャー

 「能って楽しい。奥深い」―。2日夕、平良市のマティダ市民劇場で開催された「ザ・ベスト・オブ能・狂言」公演。演者の華やかな衣装と舞いに加え、笛や小鼓、太鼓の演奏など格調高い舞台は観衆の目をくぎ付けにした。公演前には平良市や城辺町、下地町の中学生を対象とした中学生のためのレクチャーも行われ、約700人の生徒が日本の古典芸能を一から学んだ。

 中学生のためのレクチャー公演は午後2時から行われた。はじめに笛の演奏者が能・狂言について説明。「能は表現をしないもの。喜びや悲しみという表情は能面で見えないのが特徴。皆さんがそれぞれに違うことを想像できるようにしている。だから700人いれば700人それぞれの感じ方があり、それが能の世界」と話した。
 この後、楽器の演奏者が笛や小鼓、大鼓、太鼓といった楽器の由来や構造を説明した。その楽器を使った体験コーナーでは9人の生徒が挑戦。生徒たちは演奏者の指導を受けながら初めて触れる楽器を使い、それぞれに演奏を楽しんでいた。
 最後にはミニ公演「羽衣」が披露され、生徒たちは演者が天女に扮して踊る様子を食い入るように見つめていた。
 楽器演奏に挑戦した西辺中2年の前泊優美さんは「能のことはまったく知らなかったけど、とても楽しかった。これからたくさん勉強して能や狂言を学びたい」と笑顔で話した。狩俣中2年の島尻昌也君も「初めて楽器に触れたけど、ただ(太鼓を)たたくだけではなくて、こつがあるということが分かった。とても勉強になった」と感想を話していた。

 写真説明(上)・観衆の目をくぎ付けにした能・狂言の公演=2日、マティダ市民劇場
 写真説明(中)・能で使われる楽器について学ぶ生徒や教諭。演奏者のレクチャーを受けた=2日、マティダ市民劇場
 写真説明(下)・狂言「附子」は観衆を魅了した=2日、マティダ市民劇場

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『食』で深まる心の交流/福島県西会津町と平良市・

食生活改善推進員研修

 平良市(伊志嶺亮市長)と福島県西会津町(山口博續町長)の2003年度食生活改善推進員研修・交流会が1日、平良市中央公民館で開かれ、両市町の食生活改善推進員が食を通して交流を深めた。推進員らは研修、交流の中で積極的に触れ合い、互いの食生活や文化を学んでいた。
 平良市と西会津町の交流は1997年4月に始まっている。研修・交流会の目的は、両市町の推進員の連携と活動の充実および資質の向上を図ること。毎年、両市町の食生活改善推進員が行き来して交流を深めている。
 今回、西会津町から宮古に来島したのは山口町長を含む計18人。研修・交流会では平良市の伊志嶺市長や食生活改善推進員から盛大な歓迎を受けた。
 午後6時30分から開かれた研修・交流会で伊志嶺市長は「これを機に西会津町と平良市の交流の絆がますます深まることを願っている」と歓迎を込めて話した。
 これに対し、山口町長は「この交流の成果が少しずつ表れている」と交流事業の成果を強調。宮古島については「こんなに素晴らしいところはない。われわれが宮古島、平良市に対して持っている強い気持ちを理解してほしい」などと話し、末長い交流を求めた。

 写真説明・平良市食生活改善推進員が準備した料理を試食。両市町の推進員が食を通して交流を深めた=1日、平良市中央公民館

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交流再開を確認/宮高と台北市立復興高級中・

台湾から校長ら12人来島

 宮古高校と姉妹校提携をしている台北市立復興高級中学校の陳萬富校長ら職員とPTA役員合わせて12人が、04年度のホームステイ交流について話し合うため2日来島。同日夕、話し合いが行われた結果、SARS(新型肺炎)発生のため中断していたホームステイ交流を新年度から再開することを確認した。
 一行は宮古島観光の後、午後5時に宮古高校に到着。中庭では、同校吹奏楽部が高らかな演奏で歓迎した。
 生徒会長の下地瑞香さんは「昨年は文化交流が途絶え、残念に思っていた。しかし、こうして皆さんとお会いできたことをうれしく思う。これからも姉妹校としての交流を願っている」と歓迎のあいさつ。陳校長は盛大な歓迎に感謝した。
 宮古高校と復興高級中学は99年に姉妹校提携をした。以来、文化やスポーツ、ホームステイなどを通して交流している。

 写真説明・歓迎式では吹奏楽部が高らかな演奏で復興高級中学の職員やPTA役員一行を歓迎した=2日、宮古高校

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