知念かおり新春インタビュー

「多くの人と対局したい」/囲碁 女流棋聖・知念 かおりさん(平良出身)
 昨年も多忙を極めた棋士の知念かおり4段。年頭は女流棋聖戦で万波佳奈3段を下し、一年のブランクを経て返り咲いた。しかし本因坊戦では惜しくもタイトルを防衛できずに終わった。その胸中に何が巡ったのだろうか。また第32回「日本アジア航空杯大会」には夫である楊嘉源9段と共に台湾で対局したり、自ら発案した「知念かおり先生の親子で楽しむこども囲碁入門リバーシゲーム付き」をプロデュースしたりと忙しい毎日。今回は郊外の自宅近くでインタビューを行った。三人の子供たちの母親として、プロ棋士の妻としての普段の顔もかいま見せながら、「昨年を振り返って」そして「新年の抱負」など語ってもらった。当日、折しも東京は寒風が吹き荒れた。しかし最初から最後まで、いつどんな時も変わらない日だまりのような笑顔が印象的だった。(東京・菊地優子記者)

―昨年を振り返って
 棋聖戦で良いスタートが切れたと思っていた。しかし本因坊戦では結果が出せなかった。内容自体は悪くないと思っているうちに、その後の打ち方が悪かったりと本当に悔いの残る戦いだった。さっぱりした気分になれない感じでしたね。(笑)でも本当に良い勉強ができたので、この気持ちを次につなげたい。
―今年の目標
 まずは棋聖戦に向けて、自身と家族の体調を整えることが最優先。まだ挑戦者が決まっていないので(取材時二〇〇五年十二月十五日)何とも言えないが、どちらもタイトル戦で勝負したことのある二人。悔いなく打ちたい。昨年は成績がボロボロだったので、少しでも多くの先生方と対局して精進したい。
―プライベートでは
 相変わらず子育てが中心。子供によって個性があって本当に楽しい。最近は家族で囲碁やトランプをすることが多いですね。私が少しでも弱いふりをすると「ママ、弱気だね」とたしなめられることも。(笑)キャッチボールや公園にも家族でよく行っています。
―五年後、十年後の目標は
 あっという間に過ぎるんでしょうね。想像もつかないです。(笑)いつかずっと先になるかもしれないけど、子供たちのためにアットホームな囲碁教室ができたらなぁとは思っています。子供時代に小さな負けを積み重ねていくことの意味は大きいと思うんです。今までの十年は、結婚出産が大きな節目だった。そのような環境の中でも囲碁が続けられているということは本当にありがたい。また同じマンションに主人の身内がいるので、安心して碁を打てて幸せです。
 知念 かおり(ちねん・かおり)1974(昭和49)年7月28日生まれ。平良出身。時本壱9段門下。93年入段、96年2段、97年3段、05年4段。97年第15期女流本因坊戦で初タイトル獲得、98年防衛、99年3連覇。2000―03年女流棋聖。02年第21期女流本因坊挑戦。04年第23期女流本因坊戦で小林泉美女流本因坊に挑戦、3―1で奪取。05年第24期女流本因坊戦挑戦者・矢代久美子5段にタイトルを奪われる。05年第8期女流棋聖戦で万波佳奈女流棋聖を下し、女流棋聖位、通算5期。99、04年棋道賞女流賞。2000年に平良市民栄誉賞。プロ棋士楊嘉源9段との間に1男2女。

 写真説明・韓国で行われる第4回正官庄(チョンカンジャン)杯世界女流囲碁最強戦を控えた知念かおりさん
 

 
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