行雲流水

 一九九七年国際連合による国際会議が京都で催された。目的は地球温暖化の要因温室効果ガス≠フ排出規制を国際的に合意することだった。会議の名称は京都会議。正式には「第三回気候変動枠組条約締約国会議」(百科辞典「ウィキペディア」)▼会議では先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力のある数値目標を課す『京都議定書』が採択された。議長国日本は排出量を一九九〇年の水準から六%削減すると世界に向けて宣言。六%の三分の二は国内林の活用によって達成すると約束した▼温室効果ガスのおよそ六三・七%は二酸化炭素だと言う。日本国土の六七%は森林。森林は光合成のため二酸化炭素を吸収する。結果として森林は温室効果ガスの削減に寄与する。これが国内林活用の発想である▼しかしここにきて農林水産者は削減量六%の目標達成はきわめて厳しいと報告。造林→保育→伐採の還流が適切になされてこなかったので日本の森林(人工林)はいちじるしく荒れており二酸化炭素吸収の機能が低下しているからだと言う▼健康で活力ある森林を育成するには過密になった本数を間伐し適度な光を入れて下草の発生を促さなければならない。間伐を怠ると樹木はモヤシ状になって森林そのものは風害・雪害・病虫害にもろくなる▼日本は工業製品輸出最優先という国策によって見返りに安価な外国産の材木を大量に輸入。わが国の立木単価は下落して林業は衰退。林野庁はようやく新森林・林業基本方針をまとめ国産材の利用割合を現在の三割から十年後には六割に倍加する目標を設定した。遅きに失した林業活性化。美しい国%本の森林再生はなるかどうか!

(2007/02/23掲載)

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