行雲流水

 時間の過ぎるのが速い。「まさに、光陰矢の如し」である。最近数本のビデオを見て、一層その感を深くした▼一歳半の孫が、こっくりこっくり居眠りしながら、それでも食べることをやめないでいる姿が収録されている。ついこの間のことだが、いまでは、サンタクロースからプレゼントを貰った喜びを電話で伝えてくる▼同期モアイ仲間がカラオケで歌っている三十年前の姿がテープに収められている。自信満々、情感をこめてそれぞれの持ち歌をうたっている。うたう格好は今でも変わらないが、髪の毛の本数と色、顔の艶は同じとは言い難い。仲間の二人は鬼籍に入ってしまったが、映像は往時を偲ぶよすがともなっている▼卒業して三十年になる教え子たちのクラス会が那覇であった。その時の模様と、卒業アルバムから取り込まれた画像が一枚のDVD・Rに収められている。新年会はその映像の鑑賞で盛り上がった。「昔、色白の美少年、久しぶりにその頭を見て驚いた」というようなことを、一人の女性が言った。会いたい人にもなかなか会えないものである。一つの集い、一本のテープが人を再び結びつける契機ともなる▼もう一つのクラスの制作した卒業記念のテープがあって、学校生活の様子が収録されている。テープは次のメッセージで結ばれている「三の八、それは青春、心の故郷。喜びと苦しみが始まり、夢と友情を育てたところ。だから何時までも君を励まし、慰める。君をじっと見つめている」▼幼年期から老年期まで、それぞれのステージはかけがえのない固有の意味を持っていて、足早に通りすぎて行く。

(2007/01/17掲載)

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