行雲流水

 地球温暖化のせいであろうか、十二月に入っても沖縄は夏日がかなり続いた。長期予報でもこの冬は暖冬のようである。ただここ数日は冷え込んだが、さすがに冬至ともなれば、暑さも恐れをなし退散したのだろう▼冬至は太陽が南回帰線上に行くため、北半球では、昼の時間が最も短く、夜が最も長くなる▼「冬至から畳の目ほど日が延びる」と言われ、冬至を境に昼間の時間が少しずつ長くなる。「陰」が去り「陽」に復する意で、冬至を「一陽来復(いちようらいふく)」ともいう。旧暦では冬至を暦の起点とし、冬至が含まれる月を十一月と定めたため、「一陽来復」は旧暦十一月の異称でもある▼北半球の国々では、冬至を太陽の新生の日として祝い、春を呼ぶ種々の儀式を行うところがある。クリスマスも冬至祭が行事の原形といわれる。沖縄のトゥンジー(宮古では正月ガマ、小正月(いみしょうがつ))は、夕食時に火の神や仏壇に七品でつくったチンヌクジューシーをお供えして家族の健康・繁栄を祈るならわしである▼今年も早いもので年の瀬を迎えた。この一年を振り返るとうれしい事や感動的こともあったが、どちらかと言えば暗いニュースが多かったように思う。小さくても心温まるようなニュースだけを流すと世の中はよくならないだろうかと単純に思ったりする▼またこのコラムを書くたびに、蘇軾(そしょく)(北宋の詩人)の言う、「作文は行雲流水の如し」で、物事に執着せず自然のまま、悠然とした心境で書きたいものだと思う。だが凡夫は世の喧騒に翻弄されてしまうのだ。

(2006/12/22掲載)

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