行雲流水

 モノレール「おもろまち駅」の連絡橋を下るとおもちゃの国から来たかと見まがう多彩な図柄の小型バスが目につく。車体は箱形で左右の側面には那覇市内の小中学生から募った車体デザインの最優秀賞作(絵)が所せましと描かれている▼床面は低く高齢者や幼児の乗り降りさらには車椅子での乗り降りにも優しく配慮されている。車外からは見えなかった窓も中に入るとちゃんとある不思議な構造でしかも視野広く発展盛んな新都心の光景が存分に楽しめる▼おもろまち駅を起点に新都心を一巡して再び起点にもどる専用バスで車名は「新都心循環バス」。経路には総合病院・専門病院・行政施設・小学校・中学校・県立高校・大型量販店・市営団地・公園など二十二カ所の停留所がある▼料金は全行程一巡しても百円。市町村等の自治体が住民の移動手段を確保するために運行しているこの種のバスは「コミュニティーバス」と呼ばれ全国には無数にある。九州沖縄圏内だけでも鹿児島県の二十三路線を筆頭に六十余系統もある(十一月現在)▼実際に利用すると「循環バス」が移動手段としていかに貴重で便利なものか体感できる。さて合併宮古島市の行政機能の実務はかつての五市町村庁舎に分散され住民は遠隔地の分庁まで出向くことも多くなった▼平良との往復バスしか交通機関がない旧町村住民は手段として自家用車を用いざるをえない。高齢者にとっては運転するだけでも負担は大きい。停留所をスポンサーに宮古島独自の「循環バス」導入はできないか。

(2006/12/01掲載)

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