行雲流水

 「三歳児の崩壊」が進んでいるという。小学低学年、幼稚園、保育園と崩壊の実態はますます低年齢化しているのだ▼子どもが「キレル」原因は、乳幼児期の親の子育てに行きつき、おんぶや抱っこ、母乳を与えると言った「スキンシップ」が大切だという。そのスキンシップを欠くと子どもはキレやすくなり、また親自身が愛情を失い、虐待が増えるとの指摘もある▼学校で暴力をふるう子どもは家庭で暴力を受けていることが多く、また虐待が世代間で連鎖していることも統計上のデータで明らかになっている。上記は「小学校が暴力教室と化した」(文芸春秋・今年12月号)による▼また同月号に「家畜化する子供たち」、お尻がふけない、朝食は布団の上で、また「床食い」「ソファーめし」などの奇妙なレポートもある。基本的な生活習慣、しつけが崩壊しているのだ。突き詰めれば親に責任があるのだろうが、その親も布団の中で朝食をとるというから、もはやお手上げである▼人は家族の一員として生まれ育ち、学校教育を受け、社会人として成長していく。その過程で、親子、兄弟、師弟、友人関係という人間関係を経験しながら、人としての生き方を学んでいく。そうしたリズムが根底から崩壊したらどうなるのだろうか▼先のレポートの締めくくりに、今の子供たちの教育レベル低下は、即ち未来の国家のレベル低下を表している。それなのに、行政も学校も家庭も、内から変えようとしない。「現在の豊かな国は、こうして滅ぶんでしょうかね」と。

(2006/11/24掲載)

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