行雲流水

 マスメディアは第四権力とも呼ばれる。社会的重要性・影響力から立法・司法・行政の三権に次ぐ四番目の権力の意味でこう呼ばれる。中でも、テレビの影響は大きい。NHKの調査によると、人々がテレビに接する時間は一日平均約三時間で、それに対して新聞を読む時間はせいぜい二十分である▼そのテレビ、影響の大きい割にはジャーナリズムに不可欠な核心に迫る報道や論評に乏しく、視聴率を意識した娯楽性重視の傾向は否めない▼もともと、新聞がメッセージの内容や意図を伝達するメディアなら、テレビは登場人物の印象や状況を表現するメディアであるといわれる。新聞は真実の追究に適し、テレビは共感を呼び起こすのに適している。したがってテレビだけでなく、新聞を読むことが必要となる▼沖縄における新聞をめぐる事情は他府県とはかなり異なっている。沖縄の新聞購読者の九八%は県紙(沖縄タイムス、琉球新報)を購読、全国紙は二%に過ぎない。新聞が住民の意思を反映すべきものであることを考えると納得できる。たとえば基地問題一つとっても両者の温度差は歴然としている▼当地では、大方が地元で発行される新聞とともに県紙を購読している。新聞週間にちなんで本紙に掲載された読者の声を読むと、地域の発展と住民の福祉を目指して住民と新聞が共生している姿が見えてくる。ただ、「イベント偏重」という指摘もあった。品格のあるバランスのとれた紙面づくりが求められる▼平和と人権と民主主義、生活と文化を守る砦としての新聞に市民は期待している。

(2006/10/25掲載)

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