行雲流水

 郊外地の車の往来が後を絶たない大通り脇の地べたにあぐらをかいて談笑していた女子高生数名。缶ジュースを片手に一目で学校名が判別できる制服を着たまま。周りの大人の視線などまったく意に介していない▼商店や食事処が連なるにぎやかな通りの店舗の外壁には同様に制服姿の男子高生が立て膝になってもたれている。会話もなく道行く人々の視線を気にすることもなく置き物のように座っている▼いつの頃からか下校後帰宅することなく何をするでもなく人通りの多い通りの店舗の軒下に群れて傍若無人に過ごす高校生の姿が目につくようになった。通行人を冷やかしたり絡んだりすることはなくただ無為に過ごしているだけである▼そのためかメディアが取り上げることはない。世の大人たちも関わりを避け静観の構えである。学校の先生方は授業の前後はもとより放課後も煩雑な校務に追われており以前のように校外補導に出向いて指導するゆとりも時間もない▼選挙の投票権の下限年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられることがそう遠くない日に実現しそうな日本において大人社会は高校生世代も国の将来に対して義務と権利の自覚ある行使は大過なく果たせると認知しだしたようである▼要はこれらの自覚のみならずタテヨコ複雑な社会のしがらみの中で人として欠くことのできない規範を誰がどの段階で芽だし支援するかである。識者の多くは幼児期における親のしつけが出発点であり怠ると成長後に悔いを残すと指摘している。

(2006/10/20掲載)

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