行雲流水

 埼玉県川越イモ友の会によれば、サツマイモの旬は「十月」で、痩せ地に育つなど、その長所が十三もあるとか、栗〈九里〉より〈四里〉うまい十三里、などの語呂合わせで、きょう「十月十三日」はサツマイモの日だという▼佐渡山正吉著「沖縄・宮古のことわざ」に「ハクルヌ(白露の)ンムーマ(イモは)パクルン(身ぶるい)シドゥ(して)ミイス(みのる)」(大浦)がある。白露は九月七日ごろで、パクルンしながら太るこの時期のイモが、成長が早く収量も多い、また美味しくもある▼一方「タカヌ(サシバの)キシカラヌ(渡りが見えてからの)ンムーマ(イモは)パンキシャー(噛み切って)ファーイン(食えない)」もある。サシバの渡りは宮古では寒露を意味し、まさに今が渡りの最中だが、この後に植えるイモは噛み切れないほど硬くて小さいという▼サツマイモは「薩摩」に由来するが、もともと中国、琉球、薩摩と伝わったのであり、世が世なればわが国での呼称は「リュウキュウイモ」が妥当であろう。ともあれ琉球はイモの伝来(一六〇五年に野国総官、宮古は一五九七年長真氏旨屋)により飢餓から救われ、人口も飛躍的に増加したと言われる▼琉大農学部教授新城明久氏がサツマイモの効用について説いている。イモご飯や学校給食にもイモ食を推奨し、食料不足の身近な対策として、飽食の時代にこそ飢饉に備えるべきだと▼サツマイモはイモ焼酎やE3のバイオアルコールの原料としても重宝でありその価値を見直すべきではあるまいか。

(2006/10/13掲載)

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