行雲流水

 アイデンティティー(自己同一性、存在証明)の深みで歴史や伝統文化、自然を称え、市歌はうたう「ああこれがあなたの美しきまち、これが私の宮古島市」。さらには豊穣への祈りと平和への使命を格調高く誇らかに歌いあげている▼十月一日、宮古島市誕生一周年記念式典が開催された。式典では一年間の来し方を振り返ると共に、これからの課題を明確にして、行政と住民が一体となって「住みよい宮古島市」の建設に邁進する決意を確かめ合った▼地方交付税の減額や地域格差の拡大による歳入減、のしかかる累積赤字によって、市の財政は深刻な状況にある。行政組織のスリム化と効率的な運営は至上命令といえる。財政再建の足枷となる負の遺産の早急な処理も強く求められる▼分庁方式による住民サービスの低下もある。旧役場には支所的な機能を持たせて、直接的な住民サービスを充実させることが必要であろう。また、各地域の民俗行事やスポーツ行事等で住民の地域への帰属意識を高め、近隣共同体の解体を防ぐことが重要である。言うまでもないことだが、最大の課題は産業の振興による経済自立への確かな歩みである。若者が定住できない社会に未来はないからである▼今、市民にとって重税感は否めない。それでも納税は市民の義務である。納税は市民の連帯、結いの心の証である▼行政も議会も一般市民も、それぞれの責務を自主的、創造的に果たし、協力し合って厳しい時代に正しく対処するとき未来は開ける。その理想の姿を市歌は象徴的にうたう「黎明の空に赤星見ゆ、ああこれがあなたの希望のまち、これが私の宮古島市」。

(2006/10/04掲載)

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