行雲流水

 平成十六年二月一日。旧平良市など五市町村との合併を問う住民投票(投票率九二・六一%)で反対四七六票、賛成四三九票を投じた多良間村民。その結果を受け時の兼濱多良間村長は法定合併協議会からの離脱を表明▼しかし村議会は僅差で離脱案否決。すかさず合併賛成議員に対する解職請求(リコール)運動が起こるなど大正二年平良村から分村して現在に至る「多良間村」の興亡論相対立する市町村合併ゆえに村民の心は二分した▼が、今日、千三百二十二人の多良間村民は合併宮古島市が重度身障者の「入院時食費補助」廃止提案で抗議されたり合併で生じた介護職員給与の平準化問題で裁判沙汰に巻き込まれつつある中、村の自立の道を真摯に模索している▼自立活性化のカギはヤギ。去る一月には『たらまピンダ(ヤギ)島興し事業検討委員会』も発足した。委員会はヤギや畜産専門の大学教授や事業家など村の内外の強力な面々で構成。ピンダ島興し構想は県の平成十七年度離島地域資源活用・産業育成事業を受け弾んだ▼先進地に学んでチーズやヨーグルトなどの乳製品を開発する。ヤギ乳ヤギ肉を使った特産品で「多良間ブランド」を確立し市場の開拓拡大をめざす。長野県から乳用ヤギ二十頭を導入して飼育増産に努める▼そして高値で取り引きされる宮古和牛にならって島外県外出荷に乗り出す…等々構想は急上昇。読谷村の紅イモや県産ニガウリの今日的盛況は誰も予見できなかったはず。多良間村民の英知と意気込みが大きな成果をあげるよう期待したい。

(2006/08/25掲載)

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