行雲流水

 『鳴りとぅゆん(鳴り響く)みゃ〜く(宮古)方言大会』はいよいよ明日十二日に催される。いよいよ―と修飾したのは同大会は聴衆動員数において他に類を見ない宮古圏域最大の文化催事で市民の多くが開催日を待ちわびているからである▼特に今大会は五市町村合併によって誕生した宮古島市民にとってはおらが市≠フ初大会とあってか期待感は大きく入場整理券はわずか四、五時間で完売している。出場希望者も同一地区から四名も名乗り出るほど高い関心を示した▼主催する宮古島市文化協会は同大会について「宮古方言による宮古方言のための宮古方言大会」と強調する。確かに大会発表をきっかけに宮古方言に愛着を深め宮古方言を駆使した公演活動を展開している出場経験者もいる▼が、日常会話において地域の固有言語たる「方言」が上手に使えないという声は若年世代ばかりか中年世代からも多く聞こえてくる。看過できない事態である。時が進めば方言が「使えない」「話せない」世代はさらに拡大するにちがいない▼財団法人沖縄県文化振興会は県内各地域の生活に根ざした文化遺産である「古謡」を記録保存し後世に受け継ぐ「沖縄古謡保存記録事業」に取りかかった。本年度から平成二十二年度までの五年間事業だと言う▼宮古地域ではアヤグ・ニーリ・トーガニを対象に記録保存する。もちろん方言による記録である。地域の貴重な遺産「方言」。方言のためのみゃ〜く方言大会の開催目的と軌を一にする一大事業である。

(2006/08/11掲載)

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