行雲流水

 去る二十日、琉球大学同窓会宮古支部の定期総会が開催された。この一年、同支部は会員相互の親睦を図るとともに、夏休み期間中、少年自然の家と連携して「地域子ども教室」を開いてきた▼参加した子どもたちは、大野山林で、自然と触れ親しみながら、生物の生きる力や自然の生態系等を学んだ。また、楽しい理科の実験で発見の感動を味わったり、木工工作で、体を動かしてものづくりをすることの貴重な充実感も体験した▼ところで、琉球大学は法人化への移行によって自由裁量の幅は拡大したが「自己責任」は重くなった。特に大学に対する国庫支出は毎年減額されるので、その対応が問われることになる。各大学では産学協同等の試みがなされているが、そのことによる都市部と地方との財政の格差の拡大が憂慮される。ともかく、大学はこれまで以上に地域社会に開かれた、独創的で、特徴のあるものであることを求められている▼今回、記念講演は琉球大学教授の新城明久氏を講師に行われた。氏は「宮古への思い」と題して、二十一世紀型観光や農業の振興について、幾つもの具体的な提案を行った▼その一つに「いもの見直し」がある。鹿児島ではサツマイモを原料に焼酎をつくり、ヤマイモを原料にカルカン等の商品がつくられている。アルコール燃料の原料にもなる。食糧の自給率をたかめ、畜産との複合によって、土地の劣化を防ぐことができる。定量的な検討を要するが、示唆を与える提案である▼これまでの成果を踏まえて、今年度もユニークな活動が行われる。

(2006/07/26掲載)

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