行雲流水

 財団法人南秀会の奨学金給付後の席で、若者の持つ行動力や直向さ、その若さこそ「財産」であるとの話が出た。誰もが普段に思っていることだが、無限の可能性を秘めた若者への羨望もあって、帰らぬ青春の我が身と心に「時は金なり」の言葉とともに切なく響く▼「モッタイナイ」という言葉が世界に広がっている。昨年度のノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイさんが、地球温暖化を防ぐ道は日本人がもつ「モッタイナイ」の精神であるとして「モッタイナイ」運動を推進したことによる▼二十一世紀の最大の課題である地球温暖化防止は物を大切にし、無駄遣いをなくすことが何よりも大切である。行革の鬼の異名を持つ第二臨調土光俊夫会長は一方で目刺の土光とも言われ質素な食事で知られた。もともと物を大切にし質素倹約がわが国の国民性であった。いつの頃からか使い捨て、食べ残しなどを平然とする社会へと変貌した▼今一度ワンガリ・マータイさんが言う、心の文化「モッタイナイ」を問い直さねばなるまい。ところで「モッタイナイ」は物だけではなく、「時は金なり」の時間にも言えよう▼ただ時間は物と違って具体的な形として捕らえにくい。回り道が結果的にその人を成長させることもあり、有効とか無駄だったとかの判断が難しい▼モラトリアムは若者の特権と思うが、それは猶予期間であって確かな目的を模索しジャンプするためのエネルギーの蓄積にある。だが時代は特異な若者ニートも生む「モッタイナイ」。

(2006/07/21掲載)

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