行雲流水

 今年度の宮古地区・権利擁護セミナーが、七月十四日、城辺社会福祉センターで、沖縄県社会福祉協議会等の主催で開催された。このセミナーは、地域で高齢者・障害者・児童を支える権利擁護システムを如何に構築するかということを、福祉関係者や行政職員、それに一般市民が加わって共に考えていくことを目的に開催されたものである。講師には東洋大学教授の高山直樹氏が当たった。氏は基本的な理念と、各地でシステムづくりに参画した経験をもとに具体的な事例を紹介、参加者に重要な示唆を与えた。その一部を紹介したい▼福祉に関する法律や制度に基づくメニューは多いが、メニューが先にありきで、支援を必要とする利用者のニーズが十分に反映されているとは言い難い。また、利用者は、立場上苦情や要望が出しづらく、あきらめと依存が支配的となりがちである▼そこで、利用者の真の声を聴き、生活主体者としての利用者の自己決定を支援し、権利擁護を図るシステムが必要となる。那覇市介護保健相談委員会にはボランティアの市民介護相談員が百数十人いて、利用者を支援するだけでなく、施設側に改善をはたらきかけ、利用者の声を吸い上げて社会化するための行政とのパイプ役をも果たしている▼原則があって「相談員は施設の評価はしない」。介護の質の向上には施設と利用者それに相談員の相互信頼と連携が不可欠だからである▼住民の福祉の増進を図ることを基本とする自治体には、「地域包括支援センター」の充実等、総合的福祉施策の質が問われている▼生存権と幸福追求の権利はすべての国民に憲法で保障されている。

(2006/07/19掲載)

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