行雲流水

 六月二十三日は「慰霊の日」である。六十一年前のこの日、組織的な沖縄戦は終結した。戦争で無念の死を遂げた人々の霊を慰め、県民が平和の決意を新たにする日である。悲惨な戦争体験を風化させることのないよう、各図書館では資料展を開き、多くの学校では特設授業等を行っている▼昨年、宮古高校では、六月を反戦・平和月間と位置づけ、いろいろな取り組みを行い、その記録を冊子にまとめている▼それによると、各クラスでは「平和壁新聞」を作成した。テーマとしては、沖縄戦や基地問題、イラク戦争などが取り上げられている。平和学習「宮古島の戦跡フィールドワーク」には各クラス代表が参加、下地康夫氏を講師に学習して報告書を作成、集会で報告している。また、「朝の読書の時間」を利用して、詩や音楽、講話で、平和についての学習を深めている。資料によると、宮古島に駐屯した元兵士は書いている「餓死兵焼く無残の他に兵われの子に語るべき何ものもなし」。「平和の琉歌」は歌う「この国が平和だと誰が決めたの、人の涙も渇かぬうちに」▼反戦・平和集会では、友利恵勇氏を講師に、講演が行われ、宮古における「戦争」の実態が、具体的事例をもとに説明された。感想文には「沖縄戦や、広島・長崎のことはある程度わかっていたが、この宮古島にも、こんな悲惨なことがあったということは初めて知った」というのが多い▼平和教育の成否は特に教師の意識にかかっている。高教組教育資料センターの調査によると、教師の約九割が平和教育に関心を持っており、心強い▼平和の構築には困難で複雑な要素が多いが、真実を知ることから事は始まる。

(2006/06/21掲載)

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