行雲流水

 国際的女優ソフィア・ローレンと同男優マルチェロ・マストロヤンニが主演したイタリア映画「ひまわり」(一九七〇年)。相思相愛だった新婚夫婦が不条理にも戦争で引き裂かれ後戻りできなくなった悲劇を描いていた▼戦争に翻弄されて別離という不運に陥ってしまう男女。アカデミー賞候補に推薦されたテーマ曲の物悲しい旋律。中でもソフィア・ローレン演じる若妻の傷心の姿には今観ても涙がとまらない。愚かな戦争に対する憤りも募ってくる▼映像の圧巻はスクリーンを黄一色に埋めつくした「ひまわり」畑のシーンだった。観客の感想文の多くも同シーンは今なお鮮烈に蘇ってくると語っている。ところで映画の評価はさておき本稿が強調したいのはこの「ひまわり」である▼先日城辺吉田地区で「日本一早いひまわりまつり」が催された。ひまわりを農業と観光に連結させて地域おこしを思いついた発想―無から有を生み出す「逆転の発想」がすばらしい。「ネーミング」もさわやかでいい▼現地に出向いた。彼方の丘陵まで延々と広がるひまわり畑。全国的に取り組まれている「つくる観光」の新規誕生である。初回としては大成功だと感じ入った。着想し実現にこぎつけた関係者には頭が下がる▼本島伊江村の「ゆり祭り」。東村の「つつじ祭り」。北海道富良野の「ラベンダー」など植物(花)が観光の起爆剤となることはすでに実証済みである。かつて行政は土木型公共工事優先で自然環境を破壊してきた。自戒すべき。

(2006/05/19掲載)

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