行雲流水

 今は男性もいるから看護婦ではなく看護師なのだが、「白衣の天使」のイメージはどうしても看護婦である。きょうはナイチンゲール・デーで、看護の日でもある。クリミア戦争(一八五三年〜五六年)で敵、味方の別なく負傷兵を看護したというナイチンゲールの話は「クリミアの天使」の敬称とともに子ども心に焼きついている▼ところで長寿大国でも増え続けるがん患者、高齢社会の看護や介護、制度等医療問題も複雑化している。決してあってはならない医療ミス、昨年がん治療の総本山である国立がんセンター中央病院で患者を取り違えて肺がん手術を行うミスが発覚するなど、いわゆる「いい病院」で医療事故や医療ミスが相次いだ▼だが一方で三分診療と言われる医師や看護師などの過密なスケジュールなど医療現場の実態もある▼喜びや希望を「光」、悲しみやつらさを「闇」で表すと、病気は闇であり、光を追い求める病人やその家族にとって医師や看護師は命を託す希望の綱である▼二年ほど前になるが、身内のものが早朝に脳出血で倒れ救急に運ばれた。救急医の適切な処置等もあり、また当時幸いにも当病院に脳外科医がおり、無事手術を終えた。何よりもその翌日から食事を取るなどの回復ぶりにびっくりした▼的確で迅速なる処置が功を奏したものと思う。地域医療について考えさせられた事でもあった。医療は「闇」を照らす「光」であり、その崇高な使命を医療関係者をはじめ住民一人ひとりが忘れてはならないと思う。

(2006/05/12掲載)

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