行雲流水

 今日から一週間は「愛鳥週間」である。宮古野鳥の会では、写真展と野鳥観察会を催し、野鳥愛護への関心を呼びかける。前に、野鳥の会の案内で観察会に参加したことがあるが、楽しい説明もあって有意義なものだった。たとえば三光鳥は「月日星ホイホイホイ」と鳴くので昔から、三光鳥と呼ばれている、ということであった▼鳥はあんなに小さいのに空を飛べる不思議さもあって、人はいろいろな思いを鳥たちに投影してきた。歌「翼を下さい」の鳥たちは自由や憧れの象徴であり、青い鳥は幸せの象徴である。また、ピカソの描く鳩は平和を象徴する。宮古に豆の季節を告げる使者ツバメは「豆(マミ)まーりゃ」である▼山林は鳥たちがいて豊かである。時に遠く、時に近く、優しく、鋭く、騒がしく、それぞれの歌をうたうので、山林は立体的、重層的に深くなる▼四歳の時に失明した三宮麻由子さんは書いている。彼らは曇りの日にはさえない歌しか歌わないのに、雲間から太陽が顔を出すと、たちまち張りのある美しいさえずりを始める。それを聞いているだけで、私はその時の明るさが手に取るように分かることに気がついた。鳥が空を教えてくれたのである▼祖国が反動フランコ政権下であえいでいるとき、カザルスは国連での演奏の最後に「鳥の歌」を弾き、そして言った「私の祖国スペインでは鳥たちはピース peaceと鳴きながら飛んでいる」▼白鳥は「こう」と鳴いて、ヒトにも「恋う」という言葉をつくらせた。だから、鳥たちは、よりよきもの、より高きもの、より美しきものに恋する仲間である。友だちである。

(2006/05/10掲載)

<<<行雲流水ページにもどる