行雲流水

 今日、五月三日は憲法記念日である。憲法や教育基本法が論議されているこの時である。戦後の日本を方向づけた両基本法を改めて読み返してみたい▼日本国憲法は、まず、主権が国民にあることを宣言する「国政は国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表が行使し、その福利は国民がこれを享受する」(前文)▼また人権については次のように述べられている「この憲法が保障する基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在および将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」(二七条)▼平和主義については、「日本国民は恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」ことによって(前文)、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」(九条)▼この憲法の精神にそって教育基本法が制定された。第一条(教育の目的)「教育は人格の完成を目指し、平和な国家と社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」▼現実は崇高な理想にはほど遠い。国にも、個人にも、偏狭や独善ではなく、従属ではない、主体的な理想実現への不断の努力が求められている。

(2006/05/03掲載)

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