行雲流水

 通貨、債権、株式、商品などの本源的資産に対して、その価格変動を対象とした取引契約を派生商品・デリバティブといい、先物取引、オプション取引などがそれに当たる▼米国で超優良とされた会社の立て続けの破産に象徴されるように、デリバティブなど金融技術によって米国が「生産」している「富」は幻想に過ぎないという▼米国の挫折はヨーロッパや日本などの回復によって不可避になるといい、米国は孤立主義に向かいその時代は終わるなどという論調をみると、金融技術でのし上がったライブドアなどのあっという間の破綻と重ね合わせ米国を中心とした市場経済の行く末を思う▼沖縄の米海兵隊のグアム移転で五九%約七千億円の費用負担に、米への属国的な立場を憤慨しても、直ちに「脱米」や「日米安保破棄」の意見は多くないようだ。なお地位協定によれば米軍の日本国内での移転等に関する費用はすべてわが国が負担するという。なんとも税金の無駄づかいで屈辱的である▼今後世界秩序における「米国の地位」が揺らげば、日米関係も揺らぐのは当然であり、そのことへの対応はどうあるべきか、今日の米一辺倒を早期に見直さねばならないと思う▼ところで、一九五一(昭和二十六)年「対日平和条約」が調印され、翌年のきょう発効した。日本の主権が回復された日であるが、同時に「日米安保」を抱え込んだ日でもある。真の独立国として今後わが国は国際社会の中で如何にして名誉ある地位を築き得るのか。

(2006/04/28掲載)

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