行雲流水

 先日、那覇で友人たちと語りあう機会があった▼その中で「格差」が話題になった。格差の拡大は国際的にも国内的にも問題になっているが、身近かな私たちの社会にある色々な格差や差別からも目をそらしてはなるまい。ひとつには官民の労働条件の格差である。また男女間の差別である。真面目に勉強して、会社に就職した女性の不満や失望は大きいと、就職を斡旋してきた元教授は語っている▼給与には職能給のほかに生活給という側面がある。また、子を産み育てる女性にはそれなりの配慮が必要である。それらに要する費用を社会的必要経費と考え、生活を十分に保障できる社会になるのは何時の日か▼ベトナム戦争で人心が荒廃していた頃のニューヨークも話題になった。街に出るときは、金をせびられる時に備えてポケットに硬貨を入れておいたという。被害にあうときでも、相手が青少年の場合アメリカの大人たちは「働け、働けないことはないだろう」と諭す正義感を持っていたという。彼らの本来持つそんな「正義感」が独りよがりになって、自分たちの「国益」を「正義」だと他国に押しつけるから、世界は迷惑している▼近年、沖縄の社会は急激に変わってきた。地元大手土建会社がゼネコンの下請けをしている。観光植民地とも言われる。商店街の疲弊もある。「いったい沖縄は誰のものか」という声が聞こえてくる▼会社などで「巧言令色」が今なお幅を利かしている後進性も指摘された。人や物事を多様な尺度ではかる文化の重要性が強調された。

(2006/04/19掲載)

<<<行雲流水ページにもどる