行雲流水

 耐震強度の偽装、粉飾決算、振り込め詐欺、天下りと談合、格差の拡大、社会不安と事件事故の増大など、せちがらい世の中になったものである。そんな風潮の中でひとつの心温まるニュースが市民の心をうった▼東京在住の元医師源河朝明さんが字西里の生家跡の土地とその土地に私財を投じて新築した多機能多目的施設の源河ビルを土地と建物をセットで宮古島市に寄贈したというものである▼同市では、所在地西里(イーザト)のお年寄りたちが気軽にお茶のみ話や食事、宿泊などができる福祉・交流の施設としてNPO「萌え」(伊志嶺敏子代表)と連携して有効活用することにしている。以上のニュースが本紙一面のトップに掲載され、市民の間で話題になっている▼このような施設や事業の大切さは、宮古島社会福祉協議会平良支所(松川英世支所長)が市内各所ですすめてきた「ふれあい・いきいきサロン」の活動が高齢者の心身の健康増進の上で効果をあげていることでもわかる。サロンには地域の高齢者が気軽につどい、親しく語り合い、共に歌い踊る。合同ピクニックがあるし、グラウンドゴルフもある▼三年程前に会員数人のサロンを訪れたことがある。皆さんは明るく発言した。「サロンの仲間と会うのが待ち遠しい」、「家に閉じこもらずにすむ」、「歩いて行くので運動になる」、「お互いの健康を気づかう」、「わたしは未婚の頃の名字で呼ばれています―小林旭の『昔の名前で出ています』」▼社協やNPOの尽力と地域住民の協力で高齢者福祉の輪が広がる。よろこばしいことである。

(2006/04/12掲載)

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