行雲流水

 十二年前の平成六年三月、平良市文化協会は「第一回方言弁論大会」を開催している。宮古方言に限定した成人による発表大会は県内初めての試みとあって会場には中高年世代の多くの市民が駆けつけた▼時の大会要項は「地方共同体における真のコミュニケーションはその地方固有の言語方言≠フ豊かな感性や独自の表現法なしには成立しない」「しかし今、方言は公的な場では堂々と使えないものと軽んじられ隅に追いやられている」▼そして「メディアの発達普及によって情報の発信源は中央に一元化され日常生活の知恵までが中央発信の情報に依存して中央はすべて上位にあるとの屈折した価値観まではびこらせている」と指摘▼それゆえに「若年世代から使用不能な言葉として敬遠されている地方言語方言≠フ真価を今一度再確認するため方言による方言のための宮古方言弁論大会を企画し公開するものである」と強調した。大会は盛り上がり開催目的は的中▼翌日の新聞・テレビは大きく報道。宮古方言弁論の妙味は宮古中の話題をさらい見事に市民権を得た。以来、大会は興隆を極め今年第十三回大会を迎えることになる。連動して全県の文化協会を網羅した「しまぬくとぅば語やびら大会」も誕生▼今や方言を話せない理解できないことに後ろめたさを感じるという若年層の声も聞こえてくる。県議会の与野党代表会議も去る二十日方言の普及を目的に九月十八日を「しまくとぅばの日」と定める条例案を全会一致で決定している。

(2006/03/24掲載)

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