行雲流水

 異常な兆候を見せつけている地球温暖化に何の手だても施さず生活の豊かさと便利さのみを求めてこのまま化石燃料を使い続けると日本の面積の十倍余もあるアマゾン(南米)の熱帯雨林地帯はことごとく砂漠化すると言う▼科学的シミュレーションは予見する。「温暖化によって大西洋の海水温度上昇。その影響を受けて乾燥した空気が生じ内陸部の雨林地帯に流れ込む。そして降雨量激減。森は消えて灌木化草原化しやがて砂漠に…」と▼遠い未来の話ではない。前ぶれ現象はすでに起きている。昨年八〜十月。水量世界一の幅十キロもあるアマゾン川の水位が五〜十bも下がるほど干上がったのである。沿岸漁師の一人は取材のカメラに向かって「四十八年間こんな渇水は一度もなかった」と顔をこわばらせた▼地球温暖化の最大元凶は石油など化石燃料の燃焼で大気に排出される温室効果ガス≠フ二酸化炭素である。アマゾンの樹木や腐葉土は世界中で放出されるこの二酸化炭素の八カ年分を吸収もしくは貯蔵し新鮮な酸素を提供していると言う▼「地球の肺」と言われるアマゾン地帯の砂漠化は人類生存の危機そのものなのである。現在世界の国々では英知を結集し国家規模で懸命に温室効果ガス排出の抑制策を試行している▼わが宮古島でも環境省・りゅうせきによる地球温暖化対策技術の開発事業としてサトウキビの廃糖蜜を原料とする車の燃料「バイオエタノール混合ガソリン」の生産と実用化に向けた検証が地道に進行している。

(2006/02/24掲載)

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