行雲流水

 旧約聖書・創世記によると、ノアの洪水が起きたのが二月十七日だと言う。ノアの洪水は人々の堕落への神の審判を意味し、方舟は信仰を象徴していよう。ノアの洪水のあと人々は天に達するようなバベルの塔を築き始めた。神は人間の僭越を憎み工事を中止させた▼今、何故かノアの洪水は大津波を、バベルの塔は耐震偽装の高層ビルを連想させる。ところで耐震構造偽装問題はまだまだ余震がありそうだ。この問題が大事件として取り上げられるのは、日本が世界に冠たる地震国であり、国民の関心が高く、まさに国民への背信行為が許せないからだ。神も怒っておろう▼阪神淡路、新潟中越、福岡西方沖などの地震が立て続けに起こり、また首都直撃の大地震や東海・東南海・南海地震のシミュレーションによる想定など地震との共生?が余儀なくされている▼地震に伴う津波も脅威で、一昨年のスマトラ沖地震・津波は周知のとおりである。一七七一年の八重山地震(M七・四)津波、いわゆる明和の大津波は八重山・宮古を襲い約一万二千人もの死者を出した▼現在各県等では地域別震度予測と被害予測が想定研究されている。沖縄県では@沖縄本島身南西沖地震(M八・〇)、A多良間島南方沖地震(M七・四)の二つの地震を予想し被害想定を行っている▼また、基盤的調査観測の基準を満たす活断層として、宮古島断層帯が指定されている。国による調査は今年以降になるという。自然の驚異の前に、人間は如何に生きるべきかが問われる。

(2006/02/17掲載)

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