行雲流水

 証券取引法違反で堀江貴文容疑者ら幹部が逮捕されたいわゆるライブドア事件についてメディアは連日紙面を賑わせている。輪を掛けるかのように世人も寄ると触ると同事件について論評≠展開する。さらには姉歯耐震偽装事件である▼もとより両事件の要因や発生経緯は徹底的に追及し同業者への警鐘≠ニするためにも反社会的構図は細大もらさずあぶりださなければならない。「五十億円あれば自民党も買収できる」と豪語した良識欠如の実態もつぶさに解明してほしい▼加えて政策に反対する政治家を政界から抹消するため「刺客」として同容疑者立候補を政権挙げて画策し強力支援した小泉自民党の道義的責任も見逃せない。「選挙と今回の事件は無関係」(首相)と言い張るのは国民を見下した詭弁である▼日本国民にとって到底許せない一大事態も起きている。米国産輸入牛肉に狂牛病(牛海綿状脳症・BSE)発症の「特定危険部位」とされている脊柱が見つかった事実である▼報道によると米農務省から食肉処理施設に派遣された専門検査員は牛肉の対日輸出で除去が義務づけられているはずの特定危険部位「脊髄」を容認していた。一処理業者の問題ではなかったのである。現米政府がいかに日本人の食を軽んじているかの証である▼米国優先の政策を他国に執拗に迫るブッシュ政権。過日小泉首相は京都で同大統領との蜜月≠演出し結果として国民の食の安全は脇において米国産牛肉の輸入解禁に踏みこんだ。

(2006/1/27掲載)

<<<行雲流水ページにもどる