行雲流水

 島一円、サトウキビ収穫が真っ盛りである。また、サトウキビ生産を支える製糖工場からは黒煙がもくもくと立ちのぼっている▼二〇〇六年の農家の受け取るサトウキビ代金(生産者価格)は従来のように査定されるが、二〇〇七年以降は最低生産者価格を廃止する一方で、現行の農家手取り水準を維持する三年間の特別措置が取られる。その結果、農家の手取りはトン当たり三百六十円多くなると試算されている▼三年間の特別措置後は、生産者個人の場合、一ヘクタールの作業規模を有する者や基幹作業の一部を受託組織等へ委託することを条件に支援はなされる。宮古の場合、経営規模一ヘクタール以下の農家は全体の三五・六%に達する(平成十二年、農業センサー)。他の仕事が少ない地域事情を考慮に入れて、零細農家が淘汰されることのないよう、施策のさらなる検討が求められる▼トン当たりの農家手取りの約二万円のうち販売額が四千円で、残りの一万六千円は支援額であるという現実も直視しなければならない▼仕事を終えて、くつろいでいる川満区の川満武男さんとその知人たちから話を聞いた。「収入は少ない。それでも、これといった副業もないし、サトウキビと煙草が農家の経済を支えている」、「地力が減退、株出しの株が立たない」、「もっと収穫量の多い劣化しにくい品種がほしい」、「将来を考えると土地改良事業に反七万円だすことに二の足を踏む」▼笑いの中に生産することの誇りと喜びも感じられた。農家の自助努力と施策上の課題は多い。

(2006/1/18掲載)

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