行雲流水

 先の衆議院選で小泉自民党の圧勝を「勝ち過ぎ」と回答した国民は緊急全国世論調査によると過半数もいた。一法案でしかない「郵政民営化」法の成否が国家の根幹をことごとく崩壊させるかのように強弁した小泉首相に対する不安の表明だと識者は分析した▼住民と親しく喜怒哀楽を共にし地域の発展に尽力してきた得がたい人材であっても己の持論に組しなければ中央からマスコミ受けするアイドル型「刺客」を送り込んで追い詰め政界から転落させた小泉政権▼同党の議員諸氏は圧勝≠ナ国会を完全制覇した強権主(あるじ)に怖れを抱いてか政権に厳しく物言いする政治家はもはや皆無に等しい。鳩山民主党幹事長は「小泉チルドレンの異様な風景、小泉首相に反対もできない」▼「何も発言できなくなった自民党には自由も民主主義もない」と痛烈に批判し、加藤紘一元自民党幹事長も今の自民党には笑顔がないと話していたと紹介している。OECD(経済協力開発機構)は所得が全家計平均の半分以下の家庭を貧困層と定義▼日本の貧困率は同盟国三十カ国で五番目と高い。そんな状況下で税制改革では課税最低限は引き下げ地方税は引き上げるという。各自治体が反発している生活保護費の国庫負担削減案も浮上▼小泉改革≠ヘ地方や生活弱者への視点乏しく自公三百二十七議席の勢いでにわかに速度を上げつつある。「(国民は)構造改革が引き起こしている生活破壊と真正面から向きあわなければならない時を迎えている」(都内公立小学校事務職員)。

 

(2005/12/23掲載)

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