行雲流水

 琉大工学部元教授新里隆男氏の講演(今年九月・琉大同窓会宮古支部主催)は「宮古圏域の循環型社会を目指し・宮古島におけるサトウキビ畑からアルコール燃料の生産」の演題で、バイオアルコールの活用を説いた▼今月七日「宮古島市バイオマスタウン推進プロジェクトチーム」発足の報を見て、氏の講演が如何に時代の先端的なものであったかを今改めて痛感している▼石油や石炭などの化石燃料は太古の二酸化炭素が固定されたものととらえてよい。海中のサンゴ類も二酸化炭素を固定している。太古に高濃度であった二酸化炭素はこうした固定化や植物の光合成で概ね現在の〇・〇三%に調整されてきた▼原理原則的には、光合成の植物やその生産物等を燃焼する分には空気中の二酸化炭素濃度は増減なしの勘定になる。いわゆるカーボンニュートラルである▼木材加工などで出る木くずや畜産農家で出る家畜の糞尿、下水汚泥や生ゴミなどをバイオマスと呼ぶが、木くずからは、一酸化炭素や水素などの可燃性ガスを、家畜の糞尿や下水汚泥からは、微生物によりメタンを発生させ、これらのガスで発電をする。こうしたエネルギー源の活用は、カーボンニュートラルであり、地球温暖化対策や資源・エネルギー化対策としても重要である▼ところでモントリオール会議は京都議定書から離脱していたアメリカや二酸化炭素の削減義務を負っていなかった中国やインドなどの発展途上国もテーブルに着くことが決まり今後の方向性が見えてきたのはなによりである。

(2005/12/16掲載)

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