行雲流水

 ウコン、クミスクチンなどの薬用作物の生産加工、販売のネットワーク化と、県産原料の安定供給、製造システムを確立したとして、「沖縄長生薬草本社」(佐敷町・社長下地清吉氏・城辺出身)が沖縄県初の「農水祭天皇杯」を受賞した▼近頃は単品の薬草茶だけでなく、十数種〜三・四十種類に及ぶブレンド品が各社から販売され人気を呼んでいるようだ▼多くの方々と同様、我が家でも家庭菜園にウコン、クミスクチン、アロエ類などがある。ウコンは常用、その他は折々に活用している。ところで医食同源という言葉があるが、「命薬」「養生食」など沖縄流の「健康食」についてその原点を見直さねばと最近特に思う▼人々の健康志向の割には、生活習慣病がはびこり、児童生徒にさえ糖尿病や高脂血症などが増加の傾向にあるという。「好きなものだけを食べたい症候群」というそうだが、そうした偏食をなくし、「体にいい食べ物・食べ方」などの「食育」を心がけねば将来が危うい▼話が飛ぶが、「魏志倭人伝」(三世紀)には「倭人は長命で、百歳、あるいは八、九十歳まで生きる」とあるという。江戸初期の貝原益軒の「養生訓」にも「人間の体は百年を期限とす」などの記述があるのを見ると、古代からわが国は連綿とした長寿国であったようだ▼それは四面海に囲まれ、魚介類や海藻を食し、主食の米、味噌、豆腐、納豆などの大豆食品、また旬の野菜や山菜、緑茶や薬草茶を常用する慣わしが影響していよう。今一度食の原点を見直さねばと思う。

(2005/12/02掲載)

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