行雲流水

 皇太子の〈それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた人格の否定…〉の発言があったのは、昨年五月の訪欧直前の記者会見の席でであった。それが期せずして世継ぎ問題等の解決を加速させる結果となった▼今月十二日、「皇室典範に関する有識者会議」は、世継ぎについて、天皇直系の第一子を最優先する「長子優先」の方針を固め最終調整に入った▼現在の皇室典範には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」とある。これを変えて、第一子が男女の別なく皇位継承者になるということであり、これまでの男子・男系優先から、女性・女系容認への大変革となる▼過去に十代、八人の女帝が即位した(二人は重祚)。聖徳太子を摂政とする推古天皇が最初の女帝だが、しかしこれらは女性天皇の容認であっても、女系の容認ではなかった▼最近、男子・男系の伝統を重んじるあまり、庶子(側室の子)からでも皇位継承を、との意見が宮家筋からあった(戦前の旧皇室典範は庶子継承を容認)、だが、かつて昭和天皇は「人倫にもとる」と側室をおくことを嫌ったいきさつがある▼ともあれ、何よりも「女性・女系天皇の容認」は男女共同参画社会推進の最大の施策にもなろう。また一般の家庭においても、娘のほうから継ぐ女系家族ならば嫁と姑の確執は生ぜず、今日の社会や家庭事情にも適合しているのかもしれない。嫁姑の確執解消は、あるいは核家族の解消につながり、ひいては少子化防止にもつながろうか。

(2005/11/18掲載)

<<<行雲流水ページにもどる