行雲流水

 世界の軍事費の中で、一位のアメリカの軍事費は、二位から十位までの合計よりも多い。超大国アメリカに軍事的に対抗できる国はもはや存在しない。また、日本はロシア、中国に次いで四位で、イギリスやドイツ、フランスなどより多い。すでに軍事大国であると言える(二〇〇一年現在)▼東西冷戦終結による緊張緩和に合わせて、世界的な軍縮が期待されたが、各地で紛争が発生、それらの国では軍事費が増加した。ロシアとアメリカを中心にした武器輸出も影響している。いわゆる「正義の名のもとの地獄の輸出」と言われるものである▼他国の苦しみや悲しみのうえに国益を追求する「力の論理」による植民地主義の残存があり(チョムスキー)、経済覇権のために恐怖が煽られる。広瀬隆著『アメリカの巨大軍需産業』によると、軍需産業は大統領でさえ制御できないという。著者は書いている。「沖縄の基地は軍需産業のための基地である」▼さらには、それも含めてアメリカの世界戦略を進めるための基地である。たとえ安保云々が言われても沖縄県の基地負担はひど過ぎる。普天間基地の閉鎖は県民の当然の要求であり、新たな基地の建設は耐え難いことである▼日米は在日米軍再編協議の中間報告の中で、普天間飛行場の移設先を「キャンプ・シュワブ沿岸部」にすることで合意したが、県民は県内移設に猛反発している▼「パッケージ」論や那覇空港滑走路増設など、いつもの手法で迫ってくるが、悔を千載に残すことがないよう、県民は一丸となって対処したい。

(2005/11/02掲載)

<<<行雲流水ページにもどる