行雲流水

 十月十六日は、「世界食糧デー」である。世界ではいま一日に二万五千人が餓死している。この悲惨な現実の中で「世界の人々に広く食糧問題の重要性を知ってもらい、飢餓、栄養不足、貧困を克服するために国際的な協力を一層推進しよう」と国連が制定した日である▼当地でも、本日十月十九日、午後七時三十分から宮古島マリンターミナル研修室で、世界食糧デー実行委員会、日本国際飢餓対策機構主催、沖縄県、県教育委員会、県PTA連合会、マスコミ各社をはじめ多くの団体の後援で「世界食糧デー宮古大会」が催される▼大会では現地報告が行われる。また、飢えに苦しんでいる方々を支援するプロジェクトのために「あなたの一食分をご協力下さい」との呼び掛けで募金活動が行われる▼現在、途上国に広がる食糧危機の最大の原因は先進国の経済拡大や大量消費の結果である。大土地所有者と多国籍企業に土地を奪われた農民は、食糧の自給ができず低賃金の農園労働者として貧しい生活を強いられている。(ちなみに私たちが百円ぶんのバナナを買うとき農民の手取りは二円程度である)。先進国のためのモノカルチャー(単作)や近代農法によって土地は劣化、新たな森林破壊による砂漠化も進行している▼こうした中で飢餓対策機構は緊急援助と自立支援に取り組んでいる。壁はあまりにも大きい。しかし、共通認識と行動の広がりは未来への確かな一歩になるに違いない▼宮沢賢治は書いた「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。

(200510/19掲載)

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