行雲流水

 二〇〇五年十月一日、宮古島市が誕生した。市民にとって、エメラルドグリーンの海に浮かぶ宮古島が地球の中心である。ここで暮らす市民が、美しい海や空、緑の大地とすべての生命の源である太陽の恵みを受けて、未来へ飛躍する姿をイメージする「市章」が私たち市民の希望と決意を象徴する▼何よりも子供たちが心身ともに健やかに育ち、人間的な力を身につけていける教育環境の整備こそが未来を拓く。働く意志と能力を持つすべての成人に労働の権利が保障され、文化の花が咲き競う社会でありたい(そのために、何をどうするかが厳しく問われている)。社会的弱者や高齢者の尊厳が守られ、安心と安らぎが保障されなければならない▼もとより、その実現には市民の自助努力が必要だが、行政の果たす役割は大きい。その行政、新市の財政事情には厳しさが予想される。行政のスリム化と効率化は社会と時代の要請であるが、当事者たちにその自覚が希薄である。「人事」、「分庁方式」、「前倒し工事」等にみられるように、旧自治体の権益擁護が優先し、エゴが見え隠れする▼新市発足後も地域間の利害の調整は困難を極めるに違いない。高い理念を堅持、公正で公平、強い指導性を持って健全な市政を推進できる首長が待たれるところである▼合併後も各地の文化を尊重、連帯と触れ合いの共同体的伝統は大切にしたい。その上で、自覚ある市民が公共性の形成に自律的に参加する成熟した市民社会を夢みたい▼キーワードは「自立」と「創造」である。

(200510/05掲載)

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