行雲流水

 明日十月一日から平良市・城辺町・下地町・伊良部町・上野村五市町村の住民は「宮古島市民」となる。どの住民も表向き平静さを保っている観があるが胸中には最愛の愛娘を嫁に出すような一抹の寂しさを抱えているであろう▼もとより対する婿殿≠ヘ平良市ではない。五市町村の行政域もしくは住民数に大差はあっても今回の合併は吸収合併ではなく対等合併であるから。ところで各首長が強調した合併推進の要因はどの市町村も「財政危機」だった▼全国規模で広がる合併の主要因も財政危機のようだがその要因は全て市町村自身が生み出したものとは言えないはず。いわゆる小泉改革という国策に不本意ながらも連動しなければならなかった地方の結末現象ではないか▼そして小泉政権は先の衆議院選で国民の圧倒的な支持を得た。となれば今後とも地方行政にとって財政的舵取りは容易ではない。活力ある自立型施政に加え住民に過重な負担を及ぼさない自主財源をいかに生み出すかまさに「地方の知恵」が問われている▼郵政・年金・介護・医療・教育・憲法等々…国民には厳しい国策がめじろ押しに迫っている。それでも国民は「小泉自民党」を選択した。したがって地方自治体と言えども抽象的政策の羅列を悠長に構えていることは許されない▼目標も手法も確かな逞しい行政執行力の実現が強く要請されている。時の権力や強きものにすがりつくだけの行政心得では財政難にあえぐ地方自治体の再生や自立は成り立たない。

(2005/09/30掲載)

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