行雲流水

 「なりやまあやぐ」は宮古だけでなく沖縄本島でも大変人気のある民謡で、多くの人々に愛唱されている。県民の投票をもとにラジオ沖縄が選定した「沖縄の歌一〇〇選」でもベスト一〇に選ばれている▼この歌の元歌の発祥地は城辺町友利だと言われており、古くから、この地で歌い継がれてきた。一九六〇年、友利實功氏が素人のど自慢大会で現在と同じかたちで歌ったのを契機に、この歌は人々を魅了し、たちまち世に広がっていった▼この曲の魅力は曲の美しさにある。ゆったりと重厚に語り掛けるように心に染み込んでくる。地域の人々は子供のころから自然にこの旋律を口ずさんできたという▼歌詞の言葉もなぞめいて詩的である。「なりやま」は「馴れた山」だろうが、異説もある。「染める」という言葉の深さ。白馬の幻想的効果。「女の人の所へ行くときは気を許してはいけませんよ」。だのに、みやらびを賛美する。さらに、帰りを笑いで迎えるという。時代か、女人のおおらかさか、余裕か、自由にイメージが広がる▼九月二十五日、友利のインギャー海岸に「なりやまあやぐ発祥の地」の歌碑が建立され、その除幕式と祝賀会が催された。最初、調査委員会が結成され、調査がなされた。その間、文献に当たり、専門家を招いて研究会を開いた。その結果、友利が「なりやまあやぐ」の発祥の地であることを確認、調査委員会を建立委員会(会長・奧濱貞夫)に切りかえ、そのもとで建立を達成した▼この名歌を生み、継承してきた友利の人々の誇りと喜びは大きい。

(2005/09/28掲載)

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