行雲流水

 来年、マウイ島で開かれる第九回世界島嶼会議のプレ大会公開シンポジウムが二日、市内で開かれた。会議にはグアム大学学長やマリアナ大学学長らがミクロネシア地域からパネリストとして参加、「生物多様性とシマンチュの暮らし」をテーマに意見を述べ、相互理解を深めた▼ミクロネシアは「小さい島」の意である。十九世紀にはドイツ領で、第一次大戦後は日本の委任統治領、第二次大戦後はアメリカの信託統治を経てその一部マリアナ諸島は同国の自治領になるなど、過酷な歴史に翻弄されてきた。島嶼故の狭小性や地理的隔絶性は経済開発上の隘路になるだろうし、多様な言語と生活習慣、潜在する民族のアイデンティティーの問題など色々な困難が予想される▼そうした中で、多様な文化を互いに尊重しつつ、協力して地域の経済的文化的発展を図ろうとする▼キーワードは人材の育成と活用である。大学や研究機関は、教育、研究、それにコミュニティーへの貢献を掲げてそれぞれに努力している。その際、琉球大学の共同研究が強く期待されている。またコンピューターによるネットワークづくりの重要性が強調された▼八重山の石垣博孝氏は、古くから継承されてきた島人の謡を通して人間と自然とのかかわりの根源に迫った。宮古農林高等学校の前里和洋氏は、循環型農業と地下水の保全に貢献するバイオ・リンの開発に至る研究を発表した▼サントス学長は話を結んだ「一堂に会するときことが始まる。続けるとき進展がある。行動するときに成果が得られる」。
 

(2005/09/07掲載)

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