行雲流水

 地球温暖化の原因は、石油、石炭などの燃料から出る二酸化炭素が主犯である。エネルギー問題の解決は「長期的には、夢の技術といわれる核融合や宇宙太陽光発電などがある」しかしこれらの技術の実用化までには50年以上かかるという▼放射能を出さない核融合の活用だが、核と聞けばアレルギー反応が起こる。しかし核の平和利用は人類にとって避けて通れない課題のように思える▼「米朝枠組み合意」(94年10月)に反し、02年ウラン濃縮による核兵器計画が発覚し、軽水炉の提供とその完成までの重油供給が停止され、現在六カ国協議において、米国は北朝鮮の原子力平和利用も罷りならぬという強い主張だが、休止明けの再開六カ国協議でどのような展開を見せるのであろうか▼03年のNPT(核不拡散条約)からの脱退など北朝鮮の態度には、拉致問題の対応もそうだが不信感が募る。端的に言えば米朝間の信頼関係は構築され得るのであろうか。核の平和利用も国家や人と人との信頼関係が根底にあるのは言うまでもない▼わが国では、茨城県東海村の日本原子力研究所で原子力発電が成功し、それを記念して翌1964年に「原子力」の日が設けられた。その年は同時にわが国が国際原子力機関(IAEA)に加盟した日でもある▼米国での同時多発テロ以来、地域紛争やテロ騒動はエスカレートし、IAEAが目指す、原子力の平和利用による人類の繁栄と軍事目的への転用防止の命題も何故か薄れていくようで気になる。

(2005/08/26掲載)

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