行雲流水

 サトウキビの夏植えが盛んに行われている。耕運機がかけられて準備された畑に苗が次々に植えられていく。幸い恵みの雨も降って農家の皆さんはいよいよ張り切っている。全島に広がるこの光景を見ると、サトウキビ生産が依然としてこの島の重要な基幹産業であることが分かる▼サトウキビの反当たりの収穫量はおよそ八トンで、買い上げ価格はトン二万円であるから、農家にとって現実はかなり厳しい。それでも総体的な経済効果には予想以上のものがあるという▼宮古農業改良普及センターの本村隆信所長の話によると、サトウキビの運搬や製糖過程における雇用効果等の波及効果は、サトウキビ価格の四・三倍にもなる。サトウキビ生産の振興は地域の重要課題であると言える▼宮古農業改良普及センターでは農業の振興と農村の活性化を目指して普及活動を展開しているが、その一環として普及センターだより『ワイドーぱり』を年四回発行、情報を提供している。最新号ではマンゴーの安定生産に向けて、今期の減収の要因の分析と今後の対策について特集を組んでいる▼今や宮古産のマンゴーは全国的に高い評価を得ている。味が良いうえに美しい。礼状に、宝石に例えられていたという話も聞く。いつもの時期に購入の予約に行くと、すでにしめ切られていた。ブランド化をめざして、生産の拡大と流通の整備が関係機関に強く求められている▼待たれていた雨が降ると、何処でもそれがあいさつの話題になる。大気は汚れを落として、野山の緑はつややかに輝く。

(2005/08/24掲載)

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