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Ｅ＝ｍ・２ｃ。Ｅはエネルギー、ｍは質量、ｃは光速度である。この普遍的な存在の理法を示す単純な式はある意味では限りなく美しい。しかし、原爆の可能性を内包する式の意味することが悪魔の手に握られるとき世界を焼き尽くす劫火が準備される▼アインシュタインたち科学者は、ナチス・ドイツより先に原爆を開発する必要性を米政府に進言したが、出来あがった時、その使用に強く反対した。しかし、原爆は広島、長崎に投下され、街は一瞬にして廃虚と化し、二十数万の人命が失われた。また被爆者の多くが今なお苦しんでいる▼なぜ原爆は投下されたか。それは、ロシアの参戦前に日本を叩きつぶす事であった。「アメリカ爆撃委員会」は報告している「広島と長崎にいそいで爆弾が投下されたことは、その政治的な目的が十分に達せられたという意味では一つの輝かしい成功であった。日本にたいするアメリカの管理は完璧なものであり、ロシアとの権力争いはそこにはない」▼戦争は政治の一形態だと言われるが、原爆投下もまた政治の一つのかたちであった。そのために不当にも多くの非戦闘員が無差別に殺戮された。そして加害側には、一片の反省の色も感じられない▼過去の核拡散防止条約で「非核保有国を核で攻撃しない」という条文に日本はアメリカの働き掛けで反対している。これもまた政治の一つのかたちである▼心情だけでは平和は実現しない。唯一の核被爆国としてわが国は、核廃絶のため、平和の条件構築のために主体的に国際貢献すべきである。 |
（2005/08/10掲載） |
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