行雲流水

  日本リサーチセンターは中国の社会科学院と共同して日中関係に関する世論調査を実施し先日結果を発表した。それによると日中関係が今後悪化するとみる両国人は昨年十月の前回調査に比べともに一〇ポイント以上も増加している▼中国に「親しみを感じない」日本人五七%に対し、日本に「親しみを感じない」と言う中国人は七一%と高い。四月に起きた反日デモなど両国の関係冷え込みが影響しているとみられている▼小泉首相が「再び国民が悲惨な戦禍を被らないよう不戦の誓いをたてるために行っている」と繰り返し弁明している靖国神社参拝に対する中国の反発は八二%にも達している。かくて識者は中国の感情悪化の主たる要因は小泉首相にあると指摘する▼中曽根元首相や歴代首相の多くも靖国問題は結果として国益を損ねており慎重な対応が必要だと進言している。同じ民族でありながら南北に分断されてかつて敵対意識を増大させていた韓国と北朝鮮▼時の金大中韓国大統領は同民族意識をもって話せば理解し合えると対話による「太陽政策」を粘り強く維持した。その結果途絶えていた両国の首脳会談は五十五年ぶりに実現。両国民は民族統一への夢は現実化すると歓んだ▼しかしブッシュ米政権から「悪の枢軸」「ならず者国家」と名指しされた北朝鮮は態度を急変し統一への望みは今日消滅しつつある。国の最高責任者の言行は時として他国民の感情を逆なでし抜き差しならぬ憎悪を生み出す刃となるものである。

(2005/07/22掲載)

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