行雲流水

  アメリカ合衆国の広さは日本の約二十五倍で、山があり、川があり、広大な平原が広がっている。そんなアメリカが自国の四千分の一の小さな沖縄に多くの基地を置いて、住民の生活を脅かしている▼一方で、日本は日米安保条約で米軍に基地を提供しているが、国土の〇・六パーセントに過ぎない沖縄に七五パーセントの基地負担を押しつけている。その密度は他府県の四百七十倍である。戦争の後遺症とその後の日本の米国追従によるものであり、明らかな差別である▼先日、米軍の四軍調整官は普天間基地について「何もない所に空港をつくった。そのまわりに人が集まってきた」と発言している。占領意識そのものである。他の主権国家にいて、住民に迷惑をかけているという自覚がない▼金武町キャンプ・ハンセン内レンジ4における米陸軍都市型戦闘訓練施設の使用については伊芸区民が抗議行動を続けているし、県議会も反対決議をしている。しかし、米軍は抗議を無視、実弾演習を強行した。伊芸地区では、過去に十数回も流弾事故が発生しており、その危険性は明らかである。それでも、日本政府は容認の姿勢である▼十九日には「米陸軍都市型戦闘訓練施設での実弾射撃に抗議する県民集会」が開催され、超党派で県民の声が結集された。なお、「米軍再編」においても、沖縄の基地の整理縮小の要求が無視され、日本が米国の世界戦略に一層深く組み込まれていくことが危惧されている▼自らの生命・財産を守るために立ちあがった沖縄県民の声を日米両政府は尊重すべきである。

(2005/07/20掲載)

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